歯の豆知識 2019年-りんご歯科医院|新潟市中央区の歯科・歯医者

カウンセリングを重視。新潟市の歯科・歯医者なら当院へ。

025-255-6480

診療時間:月~金 9:30~19:00(火・木曜は18:00、土曜は17:00まで)

025-255-6480

診療時間:月~金 9:30~19:00(火・木曜は18:00、土曜は17:00まで)

歯の豆知識 (2019年)

歯の豆知識 バックナンバー

入れ歯による不調和で、腫れや潰瘍を起こすことがあります。

取り外し式の入れ歯を新たに製作し、装着して使用した場合、不具合が生じることがあります。主に痛みや頬を噛む、食べ物が噛めないなどが多いです。

今まで快適に使用していた入れ歯についても、同様なことが言えます。義歯は、金属部分とプラスチック部分から構成されています。そのために残存する歯に掛かる金属に亀裂が入って破折したり、樹脂の部分に亀裂が入って金属が脱離したり、樹脂が割れたりすることがあります。これは部分床入れ歯、全部床入れ歯のいずれの場合も、噛む力が金属や樹脂に集中するためです。そのまま使用していると、破折した部分が当たったり、入れ歯自体の安定がなくなって噛んだ力により入れ歯が動きだして口腔内の粘膜や歯茎が赤く腫れたり、潰瘍が生じたりして痛みが出ます。

また長く使用していた入れ歯の場合、人工歯がすり減ることで上と下の歯との間に隙間ができ、噛みにくくなったりします。前歯で食べ物を噛み、奥歯で粉砕して食塊として飲み込むことで、食べる楽しみや活力が生まれ、全身の健康を維持、増進させることができます。

さらに口で食べることが認知症を防止、軽減することも分かっています。より快適に過ごせるよう、不具合があればお近くのかかりつけ歯科医院にご相談しましょう。

歯周病と肥満と糖尿病との関係。

歯周病は、肥満や糖尿病と深く関係する病気です。糖尿病の人は、健康な人と比べて中等度から重度の歯周病になる頻度が2~3倍高く、さらに歯周病の進行も早くなります。

最近の攻撃に対して免疫力が弱く、組織の治癒力も低くなるため、炎症による組織破壊が進行しやすくなります。また、糖尿病の方に歯周病の治療を行うと、血糖値が改善することが証明されています。糖尿病の場合、食事の時に血糖値が上昇して膵臓から分泌されるインスリンが過剰になると脂肪として体内に蓄積されてしまいます。生活習慣が歯周病に及ぼす影響を見ても喫煙、年齢、歯磨きの回数などよりも、肥満度との相関性が高いことが確認されています。

その点からも肥満度の高い方は、セルフケアが最も重要な歯周病のコントロールが難しいということを示唆しています。歯と糖尿病について見てみると、糖尿病の病態を示す指標であるHbA1c(正常値5.4%以内)が8%以上であると10年間に3本以上の歯を喪失するリスクがあると報告されています。

このように、歯周病と肥満、糖尿病とは深い関係があり、予防には自身による管理が必要です。かかりつけの歯科医院で定期的な健診を受け、歯科衛生士による歯のクリーニングや日常のブラッシングをきちんと行うことを心掛けましょう。何より、歯周病菌数を少なくすることが大切ですからね。

入れ歯の効用って何があると思いますか?

歯がある人は丈夫で長生きと言われますが、本当でしょうか?

ある調査では、千人以上の高齢者を対象に
①咬み合わせが安定している
②咬み合わせが安定していない
③咬み合わせが全くない

の3グループに分けて、8年間に及ぶ生存率を調べたところ、咬み合わせが良い人ほど生存率が高く、咬み合わせがない人ほど生存率が低くなっていました。入れ歯を使っている人と、使っていない人とでも、生存率に大きな差がありました。この結果から、もし入れ歯を使って噛める状態を作ってあげれば、より長生きできるということになります。

また、「歯が20本以上残っている人」「19本以下で入れ歯を使用していない人」の転倒リスクを比べたところ、歯が19本以下の人は2.5倍も転倒リスクが高いということが判明しました。そのことから、高齢者の方に入れ歯を入れていただき、その後1年間の転倒回数は減っていったとのことです。

認知症との関係については

①20本以上歯が残っている人
②19本以下の人
③歯がほとんどなく入れ歯を使っている人
④歯がほとんどなく入れ歯を使っていない人

に分けて割合を調べていました。結果は、歯が多く残っている人ほど認知症の割合が低く、歯がなくとも入れ歯を使っている人はそれほど大きな差はありませんでした。


このような結果から、歯と入れ歯は健やかな老後を送るための大切なアイテムと言えますね。

高齢者の全身の健康へのリスクになってしまう虫歯と歯周病の本当の怖さをご存知でしょうか?

歯周病や虫歯で歯が悪くなった高齢者は、柔らかいものの方が消化に良いという思い込みもあって、噛み応えのある肉類や魚介類、緑黄色野菜、海藻類、ナッツ類などを避けるようになります。

でも、硬いものを噛まないと顎の筋力が弱り、余計に噛めなくなってしまい、その結果、ますます柔らかいものばかり食べるようになり、栄養が偏ってしまう傾向があります。それだけでなく、硬いものが噛めなくなると柔らかい白米やパン、うどん、砂糖の入った菓子や飲料など、炭水化物の摂取量が多くなり、それが糖尿病の発症や悪化にも繋がります。

糖尿病が歯周病を悪化させるだけでなく、歯茎からの出血や膿に含まれる炎症物質が血中に入ると、インスリンの効きが悪くなって、糖尿病の発症・悪化を促すようになるからです。また、血管内に入った歯周病菌は心内膜炎の原因になるとも言われており、適切な治療を行わないと心不全を引き起こす可能性があります。

そして、虫歯や歯周病により歯や歯茎が悪くなったことにより、硬いものを食べなくなると、飲み込むのに必要な舌や喉の筋肉も弱ってしまい、よくむせるようになります。それが、体の衰弱により介護を受けるようになった時に、「誤嚥性肺炎」を引き起こし、命を失うケースもあるのですね。さらに、歯周病や虫歯により歯を失った人は、認知症にも注意する必要があります。それは噛み合わせと、脳の機能の関連があるからに他なりませんね。。。

これらのことより、高齢者ほど些細なトラブルも見逃さずに、歯科医院に行って適切な治療やメンテナンスを受けるべきと言えると思います。

歯科のホームドクターをお持ちになったほうが良いと思います

過去に治療した歯でも、年月が経てば腐食したり、欠けたりして噛みにくくなります。

また、虫歯や歯周病になると、歯や歯茎の色は変色し、形も崩れてきます。歯と歯の隙間が開いてくるのも歯周病が原因の一つです。年齢とともに口の中は大きく変化していくものです。この変化にいち早く気づき、何かあったら早めの処置をしていくのが、現状で考えられる最適な方法だということ言うまでもありません。

そのためには、歯科医院での定期健診とクリーニングが必要です。セルフケアで、日常の歯磨きはしっかりやっていただいたとしても、歯並びが入り組んでいる所や歯周ポケット内の歯垢や歯石は除去することはほぼできません。

そこで、プロケアが必要となるのですね。プロケアでは、歯や歯周ポケット内などのクリーニングなどを定期的に行います。

セルフケアとプロのケア(定期健診)の両輪で、口腔内のいい状態を維持することが何よりも重要ですからね。そのためにも、定期的に口の中の状態を診てもらえるホームドクターを確保しておくことをお勧めいたします。

アンチエイジングのためにも歯科を受診しましょう

歯は食生活や運動機能、コミュニケーションと生活のあらゆる場面に関わります。

歯に自信がないと笑顔にもなれないですよね。咬み合わせが悪いと、顔や姿勢にも歪みが出てきます。美や若さなど、口元にはその人の生き方が出ます。特に女性は閉経後、唾液分泌が低下し口腔内の環境が急激に悪化します。

それに対応するには、口のアンチエイジングに取り組むことが大切です。50代以降の口元3大危機は口臭、乾燥(ドライマウス)、歯周病です。

それぞれについて説明すると、
変化1.
更年期は女性ホルモンが減少する時期です。唾液腺は女性ホルモンの影響を受けるため、この年代では唾液の量が減り、口の渇きや味覚の低下、ものが飲み込みにくいなどの症状を訴える人も。。。
唾液の減少により、自浄作用が低下します。また、50代は歯周病が進行してくる年代で歯茎が下がるなどして、噛み合わせにも影響が出てきます。

変化2.
口臭の原因の9割は口の中にあります。使った後の歯ブラシや歯間ブラシが臭う場合は口の中に異常が起きているサイン。悪臭が感じられるようならば、歯肉炎歯周炎がかなり進行している可能性があります。
また、何年も歯科医院に受診していない場合、歯の詰め物や被せ物が劣化し、腐敗臭を放っている場合もあります。放っておかずに受診しましょう。

変化3.
歯周病は、口の中の細菌が攻撃力を増し、体の中の抵抗力が下がり、生活習慣などが複雑に絡み合って進行します。

50代では、仕事や親の介護、更年期症状などでストレスが多い世代。
ストレスフルな生活の中で免疫力が落ちてくると、口の中の悪玉菌が暴れだします。しっかり歯を磨いていても、口腔内環境が悪化する場合もあることを知っておいてください。

これらの症状に、いち早く気づくためにも、歯科医院で定期健診に罹りましょうね。

虫歯の痛みに対する処置について

虫歯の痛みは、いきなり激しい痛みに襲われるわけではないです。

最初は、冷たいものや甘いもの、すっぱいものを食べた時に『歯がしみる』などの一過性の痛みが表れます。

歯の神経がある歯髄は象牙質の下に存在します。その象牙質は象牙細管と呼ばれる歯髄と繋がっている部分があります。その象牙細管が、いわばバイパスのようになり、それを伝って刺激が加わるのです。

もし、食べ物などで歯がしみる場合は、歯髄内に血液が充満する『歯髄充血』と言われる状態なので、何もしなくても歯が痛いという自発痛はありません。でも、それが象牙細管から細菌が侵入したり、虫歯が歯髄にまで及んだりして歯髄が細菌感染を起こすと自発痛が表れる『歯髄炎』に進行するのですね。歯痛は治療で取り除けるが、虫歯が歯髄にまで達してしまうと神経を取る『根管治療』というものを行います。そして、消毒が図られたら、元々神経のあった部位にゴム質の材料で塞ぎます。

ただし、一度、細菌感染してしまった根管を完全に無菌化することは困難です。場合によっては、細菌が根の先にまで達し、根尖が化膿してしまう状態であるので『根尖性歯周炎』と呼ばれるものになります。そうなると、この場合も自発痛や咬合痛が出るようになります。こうなると、根管が完全に感染しているものの処置となるのでで『感染根管処置』という再根管治療を要するものとなるのですね。

このように、根の治療を要するまで虫歯を放置するのはリスクがありますね。できるだけそうならないように定期健診を大切にして虫歯の予防を第一に考えていただけたらと思います。

誤嚥性肺炎に繋がりやすい片咀嚼について

よく患者さんから「右の奥歯がないから左でばかり噛んでいた。」という話を聞きます。通常、私たちが食事をするときは右か左かのどちらか一方で数回噛み、食べ物が舌の上を移動して、その反対側で噛み、左右交互に噛む側を交換しながらものを食べます。

もし、片側のはが何らかの原因で無くなってしまった場合は、左右両側でバランスよく食べることができなくなります。噛める側だけで噛む「片咀嚼」という状態になります。

そうなると、口の中で様々な障害が出てきます。片側の歯ばかりで噛んでいると、噛み砕いた食物は舌の上にうまく運ばれずに頬側の空間に食べ物が溜まりやすくなります。いわば、食べたものがなかなか飲み込めずにいつまでも残り、口の中は不潔になります。その結果、噛める側でも虫歯や歯周病が進行しやすくなり、特に高齢者でこのような状態が長く続けば誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。

また噛み合わせのズレによる頭痛や肩こりなどもよく知られています。

片咀嚼を予防するには両側の歯で噛めるよう口の中の治療を受けることが大切です。片側の奥歯が抜けている場合はそこに入れ歯入れて左右両側で噛めるような状態にします。

かかりつけの歯科医師と相談して片咀嚼がないように治療を受け、お口を健康な状態に保つことが大切ですね。

浅い睡眠、ストレスは就寝中の歯ぎしり、喰いしばりを悪化させます

強い力で歯を傷つけたり、歯が折れる原因にもなる歯ぎしりや喰いしばりは、無意識に行うものなので自覚しづらいです。睡眠中の歯ぎしりを家族や同僚に指摘されて初めて気づくということが多いですが、ほかにもサインはあります。

「歯が短くなった、欠けた、咬み合わせ面に光沢があるというのは、歯ぎしりで歯がすり減った証拠です」と、ある教授は言います。きちんと歯のケアをしているのに、被せ物が壊れやすい、朝起きた時に顎が疲れている。頬の内側の粘膜に歯形がついているという場合も、歯ぎしりが疑われます。

また、親が歯ぎしりをしている人は、そうでない人より歯ぎしりをする確率が高くなるそうです。では、その対策はというと、歯ぎしりの7~8割は眠りが浅いときに起こるので、睡眠の質をよくすることで改善されることもあります。

寝酒や喫煙、カフェイン摂取は、覚醒作用があるので控えた方が良いでしょう。
ストレスの多い人は、リラックスを心がけてください。また、睡眠中にスプリント(ナイトガード)を使う手もあります。当院でもこのナイトガードを製作される方は多いです。もし、夜間の歯ぎしりで気になる方は、かかりつけの歯科医院に相談しましょうね。

被せ物、入れ歯などの補綴物は定期健診を。。。

患者さんの情報を漏れなく聞き入れるために食事について聞くことがあります。食べにくいものや好きな食べ物、さらに入れ歯を入れている方と入れていない方に噛んだ場合の違いを聞いたりすることがあります。

歯科医師は多くの患者さんに出会い、治療が終わっても5年、10年、20年と長い付き合いをさせていただきます。

そして、その良い状態を維持していただくために、自身で行うセルフケアが十分かどうか、虫歯や歯周病になっていないか、咬み合わせの状態に問題はないか、被せた物や入れ歯が壊れていないかなどを定期的に来院していただき、患者さんとともに点検します。

体も加齢とともに変化し、病気になると口の中も含めて全身的な疾患のリスクが高くなります。

また、歯を喪失した原因は治療後もリスクとして残るので、治療後の機能を維持するためには、患者さん自身の努力と私たち歯科医療従事者との二人三脚が必要となります。

口腔ケアで要介護者の大病を防ぎましょう

近年、歯の数と口の中の健康が脳卒中や肺炎などの発症と関りが深いとされ、「口腔ケア」の大切さが注目されています。

ここでは要介護者の家庭でケアする際のポイントをお伝えします。

・粘膜の汚れも。。。

口腔ケアというと歯磨きを思い浮かべることが多いですが、あくまで歯磨きはケアの一部です。歯以外に頬の内側、舌の上下、口蓋などの粘膜に張り付いた汚れも取り除くことが重要です。

舌の白っぽい汚れは、味覚をつかさどる「味蕾」を傷つけないように数日かけて少しずつ落とす。姿勢は顎を引いて体感を真っすぐにし、足はしっかりと床につける。さらに重要なのは、剥がした細菌や汚れを口の中から出すこと。

高齢者の場合、細菌だらけの唾液が器官に入って誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高い。きちんと排出するためには、可能ならば6回以上のうがいをしましょう。

・誤嚥防止も。。。

普段から口内の機能を維持することも口腔ケアの一部です。口内の自浄作用がある唾液の量は加齢によって減ります。

そこで顔を包み込むように広げた手を当て、親指を耳の後ろに引っかけて手のひら全体で押したり、顎の真下から耳の下までを親指で押したりして唾液腺を刺激する。誤嚥性肺炎の防止には、飲み込むための機能を高める「カ」の音の発声練習がお勧めです。

・無理強いせずに。。。

認知症などの場合、ケアを嫌がったり口を開いてくれなかったりするのが悩みの種です。

その場合はまず介助者を認識してもらうことから始める。眠りがちな人には手ぬぐいを丸めて濡らし、冷やしたもので顔をポンポンとマッサージし、覚醒した状態で正面から顔を見て話しかける。次に様子を見ながら手、腕、肩、頬、唇と触れていき、口の中に指を入れても嫌がらないようになったら少しずつケアを始める。噛まれたときは「ダメ、痛い」と短く伝える。

ポイントは焦らず、無理強いせず、一歩一歩段階を進めることが大切ですね。

オーラルフレイルは初期の段階で改善を

フレイルという言葉は、今や一般用語になっています。

念のため日本老年医学会の定めた定義について申し上げれば、「老化による虚弱」ですが、同学会が強調しているのは「健康状態のご老人」から衰弱により「要介護者」つまり寝たきり状態になってしまう一歩手前の状態であり、訓練などの支援介入で回復が可能な状態ということです。

オーラルフレイルは口腔機能の虚弱化で、歯を失って噛めない「器質的咀嚼障害」、筋力が低下して噛めない「運動障害性咀嚼障害」などの状態を指します。それを放置することにより、高齢者は低栄養により全身の筋肉量減少状態「サルコペニア」になり全身のフレイルにつながってしまいます。

また歯を失った咀嚼障害状態の方は、咬合支持がある(上下の歯で噛み合う所があるもの)状態の方よりも認知症の発症率が1.85倍高いというデータもあります。

オーラルフレイル状態の高齢者のオーラルフレイルが放置された場合、いずれ行動が大きく制限されることになり、いわゆる健康寿命の短縮を引き起こすことにつながると言われています。

オーラルフレイルの状態が初期の段階でそれらを見つけ、歯科医院で器質咀嚼障害を改善することをお勧めします。

もし、必要と判断されれば、高次医療機関の紹介を受け機能訓練を受けることで、要介護状態を防ぐことが可能な場合がありますので、高齢者も定期的な受診が必要ですね。

フッ素の効果に期待し過ぎは危険です

当たり前の話ですが、フッ素を塗ったから虫歯にならないという訳ではありません。

正しい歯磨きとフッ素を併用して初めて、虫歯予防の効果があると考えなくてはなりません。

ある患者さんの話ですが、その人の両親は長年、歯磨き粉にフッ素配合と書かれているものを選んで子供時代の患者さんに買い与え、さらに毎月フッ素を塗りに歯科医院へ通わせていました。

でも、残念なことに、その方は子供の頃から虫歯だらけです。大人になったその人は、「毎食後、歯を磨いているのに虫歯になってしまう。」という悩みを抱えています。なぜかというと、残念ながら圧倒的に歯磨きが下手だからです。両親のフッ素への信頼感から「フッ素を塗ってさえすれば大丈夫」という生活環境で子供の頃から暮らしてきたことも良くありませんでした。大人になる前からの虫歯菌だらけのため、少しでも弱っている歯があれば磨き残しを温床に繁殖して虫歯になってしまうようでした。もちろんこれは極端な症例の紹介ですが、フッ素の過剰な期待はよしましょうと言いたいです。

何より大切なことは、適切な歯磨き方法の習得と毎食後のブラッシング回数、そして歯科医院での定期健診とプロフェッショナル・クリーニングです。

入れ歯に起こりやすい問題点について

取り外し式の入れ歯を新たに製作し、装着して使用した場合、不具合が生じる時があります。

主に痛みや頬を噛む、食べ物が噛めないなどです。快適に使用していた入れ歯についても同様のことがいえます。入れ歯は金属部分とプラスチック部分(義歯床用レジンや人工歯は樹脂)から構成されています。

そのため残存する歯に掛かる金属や樹脂の部分にヒビが入って金属が脱離することがあります。これは部分入れ歯、総入れ歯の場合も噛む力が金属や樹脂に集中するために生じます。そのまま使用していると、破折した部分が当たったり入れ歯自体の安定がなくなって噛んだ力により入れ歯が動き出して口腔内の粘膜や歯茎が赤く腫れたり、潰瘍が生じたりして痛みが出ます。また、長くお使いになっていた入れ歯の場合、歯がすり減ることで上と下の歯の間に隙間ができ、噛みにくくなったりします。前歯で食べ物を噛み、奥歯で粉砕して食塊として飲み込むことで食べる楽しみや活力が生まれ、全身の健康を維持、増進させることができます。

さらに口で食べることが認知症を防止、軽減することも知られています。より快適に過ごせるよう、もし入れ歯に不具合があればかかりつけの歯科医院に相談しましょう。

フッ素化合物配合歯磨剤の効果アップのための使い方

むし歯予防力のアップには歯磨剤選びが大切ですが、使い方も大切です。世間にはいろいろな歯磨剤が存在しますが、ここでは高濃度フッ素化合物配合歯磨剤について話します。

歯磨剤の効果を上げるポイントは6つあります。

1. 毎日使う
食事の度に溶け出す歯を守るには、溶けるスピードに勝るスピードで補修することが大切です。フッ素の力を発揮させるためにも毎日使いましょう。

2. 寝る前が効果的
フッ素は口の中で長く留まるほど、よく働いてくれます。就寝中は唾液が減るので、唾液に流されずに再石灰化の効果が上がりやすいです。

3. すすぎは1回で
せっかくフッ素配合の歯磨剤を使っても、すすいで捨ててしまっては充分な効果は得られにくいです。すすぎは1回程度にとどめましょう。

4. 水は少なめに
すすぎに使う水はおちょこ一杯分あれば充分です。

5. 使用量は適量で
歯磨剤はたくさん使えばよいというものではなく、もちろん使用量が足りなければ効果が落ちます。

6. ジェル洗口液などで相乗効果
寝る前にすすぎが少なくて済むジェルやすすぎの必要がない洗口液を使うとフッ素が口の中に留まりやすく効果がアップします。高濃度フッ素化合物配合歯磨剤は、毎日使っているだけで知らず知らずのうちに健康に寄与してくれるありがたいアイテムです。

上記の使い方で本来の効能を引き出し、健康増進に役立てていきましょう。

キシリトールガムで歯を健康に

高齢化が進む中で、「歯を丈夫で健康に保つこと」に改めて注目が集まっている。

ある研究者はむし歯のできるメカニズムについてこう話します。「むし歯菌(ミュータンス菌)は、歯の表面や隙間に残った食べ物の糖をエサにして歯垢を作り出します。その歯垢の中に住みついてドンドン繁殖すると、糖を発酵させて酸を生み出し、歯のエナメル質を溶かしてしまうのです。」と言っています。

白樺などから作られる甘味料のキシリトールには、歯の健康を保つ2つの特徴が報告されています。

1つはむし歯の原因にならないこと。なぜキシリトールはむし歯の原因にならないのか。。。それは、キシリトールをむし歯菌がエサにして食べても、歯垢の原因となる成分や酸を作り出せないからです。

もう一つの歯の石灰化については、キシリトールに加えて海藻であるフクロノリの抽出物とリン酸一水素カルシウム3つが合わさることで、唾液による歯の再石灰化の増強が期待できます。

この3つの成分を含むトクホのキシリトールガムは噛んで楽しみながら唾液に備わっている再石灰化の働きを増強します。ガムを噛むと唾液が出やすくなりますし、歯の再石灰化を助ける成分も口の中に長く留まります。キシリトールガムを噛む習慣を今から身につけたいものですね。

舌のお手入れについて

舌についた汚れは、食事や会話をするときに舌が動くために上顎と擦れることである程度きれいになります。しかし、加齢とともに舌の動きが鈍くなったり唾液量が減ると汚れは取れにくくなります。

舌の表面には乳頭という小さな突起がたくさんあり、ふかふかのじゅうたんのような構造をしています。ここに汚れがたまり細菌が繁殖すると、白色、黄色、褐色の苔のような舌苔がつきます。

正常な状態でも舌の表面は薄く白い舌苔が少し付着していますが、分厚くなると口臭の原因になったり、ひどくなれば味がわからなくなります。

舌苔を取り除く方法は、間違っていると逆に舌を傷めます。歯ブラシなどで舌をゴシゴシすると、舌にある味蕾という味覚センサーを傷つけてしまうのでやめてください。舌苔を取りすぎると生体反応が過敏に働き、より早くより多く生成され、口臭がひどくなってしまうケースもあります。

手軽な舌苔の取り方は、舌を上顎に押し付け舌の表面をごしごし擦り付ける方法です。取りすぎず、舌を傷つけることなく除去できます。

また、ハチミツを小さじ一杯舌にのせて転がします。ハチミツにはタンパク質を溶かす性質があるので舌苔も溶かしてくれます。舌苔はお手入れ不足の他、口の中の乾燥や全身疾患、薬の服用、疲労などでも増えます。お口の中のお手入れは大切ですが、全身にも健康に留意し規則正しい生活を心がけましょうね。

2週間以上続く口内炎や治らない傷は要注意

口腔がんは、舌の他、歯茎や頬などの口腔内にできるがんをいいます。

国立がん研究センターのがん統計予測によると、喉にできる咽頭がんと合わせて、口腔がんと新たに診断されるのは年間で2万3千人。舌がんだけでは年間約4千人とされる。年間10万人を超える大腸や胃、肺などのがんより、患者数は少なく「希少がん」に分類されます。

ただし、患者数は増加傾向で特に60代の男性に多いです。禁煙や酒量を減らすことが予防につながります。具合の悪い入れ歯が歯茎を刺激して、がん化することもあるため注意が必要です。

治療は、がんを切除する手術が中心です。舌を大きく切除する場合は、腹や太ももの筋肉を移植して再建することもあり、そうなるとリハビリしても元のように舌を動かすことが難しいです。口の中の異常なので、鏡に映すなどすれば自分で見つけやすいものです。舌の表面の細胞は約2週間で入れ替わるので、口内炎であれば2週間程度で治ることが多い。それ以上、症状が続く場合は要注意です。

歯科健診でも、このような口の中の異常を見つけることが多いです。私たち歯科医師も、むし歯や歯周病のみならず、その辺りも注意して健診しています。是非、かかりつけの歯科医院で定期健診を受けましょうね。

歯を失ったら、オーラル・フレイル予防のためにも入れ歯が必要ですね

むし歯や歯周病で歯を失うと硬いものが食べにくくなり、軟らかいものを選んで食べるようになって、次第に噛む機能が低下します。こうした状態を放っておくと、健康を維持するために必要な栄養が不足し、病気や要介護状態に陥る「オーラル・フレイル」のリスクが高まります。

入れ歯の役割は、主に失った歯や歯を支える歯茎を回復し、食べものを噛んで飲み込む咀嚼機能や嚥下機能を改善することにあります。入れ歯を使う大事な目的の1つはこのオーラル・フレイルを予防することにあるといえます。

歯を失うと言葉をはっきり発音しにくくなり、意思疎通が難しくなることがあります。また、歯が抜けて顔の審美性が悪くなったのを気にしてふさぎこんだり、人と会うのを避けるようになることがないとはいえません。こうしたことから戸外での活動を控えるようになって社会性が低下することも、健康長寿を妨げる要因と考えられています。

入れ歯には、このように
①咀嚼機能の回復
②発音機能の回復
③審美性(見た目の美しさ)

の回復という3つの役割があります。

また、歯がない状態を放っておくと、歯がないところに隣の歯や噛み合うべき歯が動いてしまい、噛み合わせが悪くなる場合があります。つまり、入れ歯はいつまでも健康で自分らしく輝いて生きるうえで、とても大切な役割を担っているといってよいでしょう。このようなことを念頭に置きながら、個々の患者さんに合った入れ歯の製作に当たっています。

その工程は、次の4つに分けられます。
1.型取り:柔らかい材料で歯や粘膜の形を型取りします
2.噛み合わせを決める:ロウの材料を使って噛み合わせの高さを決めます
3.入れ歯の仮合わせ:噛み合わせや見た目の確認を行います
4.入れ歯の調整:できあがった入れ歯の噛み合わせや粘膜との適合の調整をします

皆さんには、入れ歯を使う本当の理由をご理解いただいたうえで施術を受け、正しく使用して健康長寿を目指していただきたいと願っています。

歯ブラシの交換目安は1ヶ月だと思います

毎日の歯磨きは適切にできているでしょうか?使用する道具である歯ブラシは、毛先の広がった時が交換の目安と考えがちですが、そこまで使うと毛先で歯茎を傷つける恐れがあります。

ブラシの弾力が低下し、歯垢の除去率が約4割落ちるとされています。この歯ブラシの交換目安は1ヶ月といわれています。「毎月1日」「毎月末」など日を決めて、忘れないようにしてもらえたらいいと思います。

あるデータによると、歯ブラシのみで取れる歯と歯の間の歯垢は6割程度。糸状のデンタルフロスや歯間ブラシを併用すると、より落とせます。ただし、どちらも正しく使わないと効果は出ません。できれば歯科医院で、歯の状態に合った道具と使い方を教えてもらいましょう。

ビスホスホネート製剤の投与中は口腔衛生をしっかりと

ビスホスホネート製剤は骨粗鬆症の治療薬として極めて有用であり、骨折を予防することで寿命の延長にまで関わってくる優れた薬剤です。その一方でこの薬剤の使用による「顎骨壊死」が問題になっています。ちょっと前まで、この顎骨壊死は抜歯などの歯科治療が原因といわれていましたが、現在は否定的で、もともと存在していたむし歯や歯周病などによる歯性感染(歯の周囲の細菌性の炎症)が原因とされています。ビスホスホネート製剤を使用する場合は使用前に歯科治療を終了させ、投与中は定期的な口腔衛生管理が必要になります。

また、歯科治療時にビスホスホネート製剤を止めたほうがいいのかといった疑問をよく聞きます。現在は、治療前後にしっかりした口腔管理ができていれば、休薬しなくてもよいとされています。ただ、そのことに関する根拠はまだ充分ではないです。状況により休薬が必要な場合もありますので、担当医とよく相談しましょう。

薬を止めた場合の歯科治療の再開はおおむね3ヶ月です。しかしこれも明確な根拠はなく、抜歯した部位を粘膜が被覆すれば再開は可能だと思います。ビスホスホネート製剤を使用している方は歯科医院を受診し、口腔衛生管理をしっかり行いましょう。

残存するほど増える大人のむし歯

大人の歯の悩みといえば「歯周病」が思い浮かびます。

しかし今、大きく取り上げられているのが大人のむし歯です。子供の時からの予防の普及啓発により、子供のむし歯は大きく減少し、20本以上の歯を有する者も年々増加し、60歳以上の平均残存歯数は2005年の15.3本から2016年には19.1本と増えたことからむし歯の増加が予測されます。

大人ならではのむし歯とは、歯茎が退縮した歯の根元にできる「根面う蝕」です。歯茎より上は表面がエナメル質に覆われているが、歯茎が退縮した下の部分はエナメル質がなく、表面が象牙質やセメント質になっています。象牙質は酸に弱く、エナメル質より軟らかい組織です。

歯茎下がりは30代で約60%、50代以上はほぼすべての人に見られるが、ある調査によると根面う蝕を認知している割合は8%。一度下がった歯茎は元に戻ることはほとんどなく、歯の根元のむし歯は30代以降から増加が見られます。

歯茎下がりの主な原因は加齢に加えて不適切なブラッシング、歯周病などがあります。むし歯予防は適切なブラッシング、根面の歯質強化に高濃度のフッ素配合歯磨きも有効です。根面う蝕は進行が早いため早期発見が大切で、セルフチェックに加えて定期健診を年に3~4回ほど受けることも大切です。

治療の先延ばしを後悔は75%以上も。。。

歯の治療や健診の受診を先延ばしにして後悔している人が75%を超えることが、日本歯科医師会の調査で分かりました。気になったらすぐに治療や健診をしてもらう「対応派」に比べ、「先延ばし派」は歯のトラブルを抱えやすいことが明らかになりました。

その調査では、歯の治療や健診のタイミングについて、もっと早くから受けていればよかったかを聞いたところ、「そう思う」41.5%、「ややそう思う」34.2%を合わせて4人に3人が後悔していた。これは75.3%にもなります。傾向として男性より女性に多くみられました。

歯の異常に気付いたら、すぐに治療や健診を受ける対応派47.3%、ギリギリまで受診しない先延ばし派52.7%でした。自分の歯や口の中が「健康だとは思わない」と答えた割合は、先延ばし派が73.3%を最高に、全年代で対応派より高くなりました。実際に歯のトラブルを抱えている割合も、40歳代以上で先延ばし派が対応派を上回りました。

歯科医師会は「医療費の心配や通院期間の長さから、症状があっても歯科に足が向かない人が多いのでは」と分析した。

「治療などの先延ばしは将来、歯のトラブルを抱えるリスクになりうる」として、早期の健診と受診を呼び掛けています。

老後に歯で後悔しないために、受けてほしい定期健診

過去にある研究でシニア1,000人(55歳から74歳の男女)を対象に「今、何を後悔していますか?」というアンケート調査を行ったところ、健康面では運動不足や食事の不摂生、毛髪の手入れ不足などを上回り、「歯の定期健診を受ければよかった」がトップになったのをご存知でしょうか?

歯周病は全身の病気を引き起こす、寿命に関係する怖い病気です。では、なぜ歯周病菌が全身の病気を引き起こすのでしょうか?

歯肉に腫れが起こると、体はリンパ球や白血球を終結させて炎症を抑えようとします。この時、歯肉にはリンパ球を送り込むための新しい血管が作られます。

この血管の中に歯周病菌が入り込み、全身へ流れていってしまうのです。

さらに、この菌は細胞膜そのものに毒があり、全身の血管をめぐり始めた歯周病菌は、あちこちで血栓を作って血管に付着し血液の通りを悪くします。これが心臓に近い冠動脈で起これば心筋梗塞、脳血管で起これば脳卒中、腎臓の血管が詰まれば腎不全になります。また、歯周病糖尿病の因果関係も認められつつあります。

これらの全身疾患を予防するには歯周病にならないことが大切ですし、仮に歯周病であったとしても歯科医院で定期健診をしっかり受け、歯と歯茎のクリーニングで進行を抑えることが可能かと思われます。

全身の健康のためにも歯周病の早期発見と予防が大切

歯を失う原因は、主にむし歯歯周病の2つの病気があります。このうち、むし歯は減少傾向にありますが、歯周病はあまり大きな変化が認められないようです。

歯周病はその名の通り、歯の周りの組織の病気です。歯茎や歯を支える骨(歯槽骨)に炎症を起こし、放置すると歯のぐらつきが進み、最終的に抜けてしまいます。さらに歯周病はお口の中だけでなく、身体全体の健康にも影響を及ぼすことがわかっています。

主な疾患は次の通りです。

糖尿病…糖尿病は進行すると様々な合併症を引き起こしますが、歯周病も合併症の一つと考えられており、糖尿病の人は歯周病になるリスクが高いことが知られています。

心疾患…歯周病により産生された炎症性物質が血流により心臓にも運ばれることで、心疾患発症のリスクが高くなります。

早期低体重児出産…妊娠中の女性で歯周病の人は、健康なお口の女性に比べて低体重児出産や早産をする確率が高いことが報告されています。

誤嚥性肺炎…肺や器官の生理的機能が衰えると唾液や食べ物が誤って肺に入り、肺炎を起こします。歯周病で口の中に細菌が豊富に存在する状態だと、誤嚥性肺炎を起こす確率が高くなります。

歯周病は、初期段階では無症状なので歯科医院で検査してもらうことが大切です。歯周病を予防して全身の健康を保ちましょう。

特に乳幼児時期の歯は仕上げ磨きを習慣にしましょう

ほとんどの場合、1歳頃までに上下の顎の乳前歯8本が生え揃います。次に生える乳歯は第一乳臼歯という奥歯です。また、同じ頃に乳犬歯が生えてくる子供もいます。3歳くらいまでに乳歯の20本が全て生え揃います。

1歳半になって奥歯が生えると子供は食べ物を奥歯で噛めるようになります。こうして、離乳食期の歯茎で噛む「モグモグ期」から、奥歯で噛む「カミカミ期」へスムーズに移行できます。離乳食が完了するまでは間食を1日1~2回にして、時間を決めて栄養を補うようにしましょう。間食の回数とむし歯の関係を調べてみると、間食の回数が多くなるほどむし歯になりやすくなります。むし歯になりやすい部位は、前歯は前面や歯間、奥歯では噛む面の溝と歯間です。

この時期は本格的な仕上げ磨きの習慣をつける大切な時期です。歯磨きのコツは年齢に合った歯ブラシを使うこと。奥歯は軟らかめの仕上げ磨き用歯ブラシで円を描くように磨き、痛みを感じさせないことです。膝の上に仰向けに寝かせ、明るい部屋で磨きましょう。

この時期に歯磨き粉は必要ありません。しかし予防の観点から子供用フッ化物配合歯磨き剤やフッ化物ジェル、フッ化物スプレーを使用することも良いです。気になる方は、かかりつけの歯科医院で相談しましょう。

歯周病は糖尿病患者の発症率が2.6倍です

近年、歯周病が全身の健康に悪影響を及ぼすことが問題視されています。
その一つに糖尿病が挙げられます。

糖尿病の合併症は腎症、網膜症、神経障害、大血管障害、細小血管障害が知られていますが、歯周病も6番目の合併症と位置付けられています。

糖尿病患者の歯周組織では、微小血管障害やコラーゲンの合成低下の影響で歯周病に感染しやすくなります。また、血糖値の上昇に伴い、歯周組織の破壊が進行しやすくなると考えられています。そのため、2型糖尿病患者は、非糖尿病患者に比べ歯周病の発症率が2.6倍高いと報告されています。

歯周病を有する糖尿病患者では、内科における糖尿病治療と並行して適切な歯周治療を行うことにより、合併症のリスクを低下させる可能性が示唆されています。歯周治療による糖尿病患者のHbA1c改善効果は、最大で1%前後であることが報告されていますが、今後さらなる検討がされています。歯周病は静かなる病気といわれるほど自覚症状に乏しい疾患です。気になる方は、かかりつけの歯科医院の受診をお勧めします。

歯並びを直すなら歯列矯正で、歯の動く不思議を実感してみませんか。

子供の歯並びが将来の噛み合わせに悪影響を及ぼすと考えられ、顎の成長発育を害していると考えられる時、また永久歯の歯並びをもっときれいにしたいときなどに歯の矯正治療を行ったほうが良いといえます。

乳歯の時期に、口呼吸、親指やゴム製乳首の吸引、おしゃぶりなどの習癖が継続されると、口の周りの筋肉の成長発育に異常をきたすことがあります。上顎の側方発育阻害による片側の歯がぶつかり合いや乳臼歯が交叉した噛み合わせ、顎の前方発育障害による乳前歯の咬合不正や前方向への突出などです。これらの状態がもしも見られた場合、乳幼児期や学童期は、口の環境改善と育成を目的とした装置を利用します。

歯や顎の骨、関節を正しい位置に誘導すると、個々の潜在能力と成長の早さにより、新しい環境へ適応しやすくなります。永久歯列完成後、乳歯列の不正を引き継いでいる場合や新たな不正が生じている場合は、個々の歯に器具をつけてワイヤーを通し、歯の広範囲な移動が必要になります。正常咬合を得るため歯を支える骨に圧迫と牽引を繰り返し、歯を傾けながら目標の位置まで歯を動かします。歯並びの治療は早期(乳歯列、混合歯列)と永久歯列期、また使用する装置により歯の動く様式は変化します。この歯の動くダイナミズムは不思議だと思われますよ。

治療中断で、病状は悪化します。

病気の治療は大抵の人にとって、好むものではありません。特に歯科の治療は一つの歯を治療するにも長期間かかる場合があり、痛みさえ治まればいいと思い、完治する前に治療を中断してしまう方が少なからずいます。治療を一度中断してしまうと、たとえ痛みが治まっていても病状そのものは進行しており、極端な場合、抜歯に至ることもあります。

よく見られるケースを通し、治療中断で問題を起こす例を以下に記します。

1. 歯の根の治療(根管治療)を中断された場合は非常に困ります。
歯の根は非常に複雑で、根管治療はその複雑な部分を清掃・消毒し、隙間なく封鎖密閉する困難な処置です。痛みがないからと治療を中断してしまい、根が再び細菌により汚染され痛みが再発すれば最初からやり直しになります。

2. 歯に被せるものや入れ歯を作るために型を取り、その後中断したケースも困ります。
これらの被せ物や、入れ歯は各患者さんに合わせた、いわばオーダーメイドです。精密に作られており、型を取ってから長期間経過した場合やり直しが必要になることがあります。

代表的な2つの例を挙げましたが、歯をできるだけ長持ちさせたいお考えであれば、治療を中断しないように心がけてください。後々「あの時にしっかり治療しておけばよかったな。。。」という後悔のないようにしてくださいね。

子供の歯ぎしりについて。

「歯ぎしり」といっても、睡眠中に見られるものと起きているときに見られるものがあります。さらに歯ぎしりにはぎりぎりと歯を擦り合わせるものや、ギュッと噛みしめるもの、カチカチ音がするものなどがあります。この歯ぎしりは、成人に限らず実は小児の方が頻度は高いとされ6歳頃に多く見られるとの報告があります。

要因は様々ですが、心理的な要因として兄弟が増えた親との口論転校夫婦間の不仲などによるストレスや不安があります。局所的要因として外傷性咬合(歯茎などの歯の周りの組織に悪い影響を与える噛み合わせのこと)、乳臼歯の交叉咬合などが考えられますが、まだ明確なことは解っていません。

生活習慣を変えたり、ストレスを軽減させることで改善することもあります。しかし、歯科的には歯ぎしりを放置することで歯の咬耗、歯の亀裂、乳歯の早期脱落、咬合高径の低下による不正咬合などを起こすことがあるので、改善が見られないときは歯科医院での定期的な経過観察や自宅での心理的アプローチが必要かと思います。経過観察の結果によっては、小児であってもナイトガード(就寝時に使用するマウスピース)の装着などで対応する必要があるかもしれません。

口腔機能の低下を放置しないでください。

口腔機能低下症とは、病気や障害などの様々な要因によって口腔の機能が低下している状態をいいます。これを放置しておくと、食べたり飲み込む機能に障害が起こり、その結果、全身的な問題が起こります。

特に高齢者は、むし歯や歯周病、入れ歯などの不具合などの要因に加えて、加齢や全身疾患で口腔の機能が低下しやすく低栄養や廃用、薬剤の副作用などで複雑な状態になります。

症状としては、口腔内の細菌の増加口腔乾燥噛む力の低下舌や口唇の運動機能の低下咀嚼や嚥下機能の低下など、複数の口腔機能が低下します。

口腔機能低下症の治療の目的は、口腔機能のさらなる悪化を予防し、全身的な機能障害に至らないように口腔機能を維持・回復することです。全身疾患、飲んでいる薬剤、認知機能の程度、肺炎の既往などを評価し全身管理はもちろんですが、むし歯や歯周病などの歯科の病気の治療を行い、口腔機能の精密検査により診断された口腔機能の低下に対して、その症状や患者さんの特性に応じた口腔機能訓練が必要です。

最近、喋りにくくなった、むせることがある、食べこぼしするようになった、噛めない食べ物が増えたなどの症状があった場合はご相談ください。

歯周病の予防について。

歯周病は歯を支える骨や歯肉など、歯の周辺組織の疾患です。進行すると、歯が抜けるだけでなく、糖尿病や脳梗塞、心筋梗塞、誤嚥性肺炎、認知症など重大な疾患につながるリスクがあります。

一度、進行させてしまうと完治しませんが、早期発見できれば進行を抑えられます。ただ初期の段階は痛みがなく自覚しにくいです。

歯周病の原因は、歯や歯の隙間にこびりついた歯垢(プラーク)に潜む細菌です。1mgの歯垢に1億個以上の細菌が住み着いているといわれています。

手軽に取り組める方法はうがいと歯磨き。特に、食後すぐに口をゆすいで食べカスを流すことは効果があります。食べカスは最近のエサになり、歯垢を増やすことにつながります。

歯垢を取るために、歯ブラシの毛先は適度な硬さがあるものがお勧めですが、歯肉に出血や痛みがあって磨くのが苦手だという人は、柔らかいものから始め、慣れたら普通の硬さに変えましょう。薬用の洗口液や歯間ブラシの併用もお勧めです。しかし歯磨きだけで歯垢を完全に除去することはできません。歯科医院で定期的なクリーニングを受けることをお勧めします。

口腔内の乾燥にお悩みではないですか?

医学的には口腔乾燥症と呼ぶドライマウスは口の中の唾液の量が少なくなることで起こる症状です。唾液の量が減少して口の中が乾燥すると、慢性的な不快感はもちろん、食べ物を飲み込みにくくなったりします。ドライマウスによる生活の質の低下に悩んでいる人は少なくないのですね。

唾液の量が減少することで起こるのは不快感だけではありません。唾液は優れた抗菌作用で細菌やウイルスから体を守ったり、口やのどの粘膜を保湿・保護する働きをもっています。ドライマウスによって口の中の唾液量が減少すると、ミュータンス連鎖球菌歯周病原因菌が口の中で繁殖し、むし歯や歯周病を招きやすくなります。

一口にドライマウスといってもその原因は様々です。
加齢に伴う唾液腺の機能低下を筆頭に慢性腎臓病や糖尿病など全身的な病気、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患、過剰なストレスといった神経性の要因も、口の中の乾燥をもたらす原因になります。

長期的に薬を飲んでいる人は、薬の副作用としてドライマウスの症状が現れることもあります。現在、歯科を中心とした医療機関では、ドライマウスの治療に唾液の分泌を促す薬の投与や、人工唾液と呼ばれる液体を口の中に噴霧する処置がとられています。

その他には水溶性のジェルや保湿液などの保湿剤を用いて口の中の潤いを保つ口腔ケアも行われます。ともに一日数回、口腔内の乾燥を感じた時に塗布したり、口に含んで吐き出して口の中の乾燥を防いでいます。もし、お口の中の乾燥にお悩みならば、歯科医院で相談してみるといいでしょう。その方に合った対処法や処方をしていただけると思います。

喫煙による歯茎の影響は。。。

喫煙の健康被害はよく知られている所ですが、口の中の病気とのつながりはあまり知られていないようですね。肺や気管支などの呼吸器と同じように、口の中の粘膜や歯茎からたばこの煙の中のニコチンをはじめとする有害物質が吸収され、様々な悪影響を及ぼします。

その悪影響の一つは、歯茎の中の毛細血管の収縮で、血行障害を引き起こすことです。また、たばこの有害物質は免疫機能を低下させるために、歯周病の原因菌と戦う力が弱くなり、たばこを吸わない方に比べて歯周病にかかりやすく、症状が進行しやすいです。それらが影響して、歯周病にかかっていることを示す一番のサインである、歯茎が赤く腫れあがり、出血しやすくなるなどの炎症症状が隠れてしまいます。その結果、本人が気づかないうちに歯周病が進行してしまうという、やっかいな特徴を示します。

こうしたことから、歯周病の早期発見・早期治療は「禁煙」が大切です。

また、喫煙者は、抜歯や歯茎の手術、インプラント手術後などの傷口の治りが悪くなるほか、舌の表面や味の感じ方の異常、独特の口臭、前がん病変や口腔がん発症率が高まることが知られています。そのため、歯周病以外の予防にも、禁煙は必要な条件といえますよ。

心筋梗塞、脳卒中対策は歯から。

歯周病により、心筋梗塞脳卒中につながる動脈硬化が近年取り上げられています。
理由はいろいろありますが、主に3つ挙げられます。

1つ目は、歯周病による慢性炎症。
これで免疫や炎症に関係があるサイトカインが次々と誘導され、血液を介して全身に運ばれ、特に血管を作る内皮細胞を攻撃します。内皮細胞は変形し、動脈硬化を起こし、血管の内径が細くなります。

2つ目は、歯周病を起こす歯周病原因菌が口腔内で繁殖して、全身に運ばれると歯周病原因菌は血液を固める作用が強いため、血栓ができます。

3つ目は、繁殖した歯周病原因菌を排除するために、マクロファージという細胞が活性化されサイトカインを放出して動脈硬化を促進する。

昨今の研究では、歯周病は動脈硬化の他、様々な病気との関連性が指摘されています。
ある大学教授は「歯周病がすべての臓器に影響を与えることは疫学的にわかっている。ただエビデンスが足りなかった。でも、今その機序も明らかになってきた。歯周病原因菌を人間の体から排除しないと病気の対策はできません」と言っています。

しかしながら、一般の人には歯周病対策の重要性がそれほど伝わっていないのが現状です。中には何年も歯科医院に行っていない方も少なくはないでしょう。歯周病は、症状がないから問題ないわけではありません。歯周病の症状は、「歯磨きをすると血が出る」「歯茎が腫れる」「膿が出る」「痛む」などですが、症状がある時とない時を繰り返して悪化していきます。また初期は症状が軽いので放置しがちで、症状を自覚した時は重度の歯周病になっていることも珍しくないのです。最低でも3ヶ月に1度は歯科医院に受診し、口腔内のチェックとクリーニングをすべきです。特に高血圧や糖尿病、脂質異常など生活習慣病や心臓血管病のある人は、歯科と循環器科の連携した治療が必要です。

誤嚥性肺炎って知っていますか?

「誤嚥性肺炎」という言葉を聞いたことがありますか。
厚労省の統計では、肺炎で亡くなった人の97%は65歳以上で、そのうちの約90%が誤嚥性肺炎で亡くなっています。

全身状態が悪化し、うまく食べ物を飲み込めなくなった人がかかりやすい誤嚥性肺炎。元気な人は食べ物が器官に入り込んでも、むせたり咳き込んだりして排出しますが、高齢者や体力が落ちている人はそれがうまくできずに、器官に入り込んだ食べ物が器官に入り、細菌が増殖して誤嚥性肺炎を起こすのです。

口の中には口腔常在菌といって、普段は問題を起こさない細菌も含めて多くの細菌がいます。こうした細菌が食べ物と一緒に肺に入り込むと肺炎の原因になります。従って口の中を清潔にしておけば、例え誤嚥をしても肺炎になるリスクは少ないといえます。日頃の口腔ケアや歯周病の治療は誤嚥性肺炎のリスクを減らすうえでも、大きな効果があるのです。

また、喉の機能を衰えさせないことも大切です。毎日、楽しく生活し、友人とよく喋ることは、喉の機能の衰えを防ぎます。カラオケで歌うこともいいですね。誤嚥性肺炎を予防し、より長い人生を楽しめるよう、日頃の口腔ケアや生活習慣を見直してみましょう。