歯の豆知識 2018年-新潟市中央区の歯医者|りんご歯科医院

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診療時間:月~金 9:30~19:00(火・木曜は18:00、土曜は17:00まで)

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歯の豆知識 (~2018年)

歯の豆知識 バックナンバー

入れ歯を装着する心構え。

入れ歯は、歯科医院で時間をかけ個々の患者さんに合うようにさまざまな過程を経て製作しても、できたばかりの新しい入れ歯を無調整で患者さんのお口の中に入れただけではしっかり機能することが難しく、使用しながらの調整や患者さん自身がうまく使えるように練習(リハビリ)することも必要です。入れ歯を入れている意味とできることを理解した上で、上手に付き合っていこうとする気持ちがあればうまく使いこなせるようになります。入れ歯は他の被せ物、根っこの治療、むし歯の治療と違い、入れ歯を入れたその日からが練習の始まりなのです。

初めての義歯は恐らく部分入れ歯でしょうから、話したり食べる時に義歯が外れないよう残っている歯にバネをかけ、そのバネにも種類がありケースによっては使える材料も形も異なります。

部分入れ歯は自分の歯が多数残っているので入れ歯の洗浄はもちろん、歯磨きの方法が自分の歯を長くもたせるために重要です。入れ歯の練習方法は、まずは入れ歯をできる限り口の中に入れ、摂食練習と発声練習をしましょう。摂食練習は、食品を柔らかくして細切れに調理し、ゆっくり時間をかけて噛むことが効果的です。食べ物の硬さは最初は痛みがなくても、柔らかい物を慣れるまで食べましょう。歯科医院で数回調整した後、徐々に歯ごたえのあるものに挑戦してみましょう。発音練習は上顎や歯に舌を押しつける形により音を作るので、入れ歯の形を舌が覚える必要があります。そのため、新聞や本などは声を出して読み、カラオケで歌を歌うことも効果的ですね。

また、入れ歯の形態を微調整すると修正できることもあり、どんな言葉が話しづらいかなど、歯科医師に相談していただくと良いと思います。

入れ歯は、お手入れすることで残っている歯を守れます。入れ歯はプラスチックでできているので、目に見えない凹みが沢山あり、そこに細菌や汚れが入り込みます。義歯用ブラシや柔らかめの歯ブラシで表面の大きな汚れをこすり落とした後に、義歯洗浄剤での洗浄が効果的です。しかし、なかなか落ちない汚れを無理に取ろうとすると破損やバネの変形が起きます。バネの変形は過剰な力が歯に加わる原因になり歯をダメにしてしまいますので無理な清掃はせずどうしても汚れが取れないときは歯科医師に相談しましょう。

総入れ歯は、部分入れ歯より調整が難しく、満足に食べられるまでの調整が困難です。総入れ歯は入れ歯の内側と粘膜がぴったり合うことにで保持されます。骨が痩せている人は動きのある粘膜と接触している面積が多いので痛みが出やすくなります。自分の歯があった時は歯で支えていた噛む力も、入れ歯の下にある柔らかい歯ぐきに負担をかけないと、しっかり力が伝わらず食べることが難しいのです。痛みが出てきても我慢して装着していると傷になり、入れ歯の調整が困難になります。傷が治った後でも顎が痩せてしまい、入れ歯を合わせづらくなります。

痛みが出てきたら早めに歯科医院で調整しましょう。

ここまで入れ歯を使うための難しさについて述べてきましたが、入れ歯を嫌い、無理に歯を残すことは、かえって顎の骨を痩せさせる原因になることがあります。入れ歯を快適に使うためには、定期的な診察で継続的にお口の状態をチェックし、ダメな歯は諦めて抜くなどのタイミングも重要です。より食べ物をおいしく食べるために皆さんの口腔内状況を定期的に歯科医院で診てもらうことをお勧めします。

飲んだらうがいをしましょう。

皆さんが普段飲用している飲み物について、少し考えてみましょう。

酸性飲料とはpH7未満の飲料のことをいい、具体的には炭酸飲料、イオン飲料、果汁飲料、スポーツ飲料、さらに健康飲料として見かける「飲むお酢」等も酸性飲料です。これらの飲料のpHはほぼ5以下です。

そして、この酸により歯の表面が溶け出す(脱灰)のため、いわゆるむし歯と同じ事が起こります。さらに磨き残しの歯垢の中には酸が作られるため、歯の表面の脱灰が助長します。

最近、天然水で果汁入りの飲料もありますが、天然水といえども果汁が添加されていれば、それは酸性飲料です。しかし、例えば子供達がスポーツ時や、病気による下痢や発熱などの全身症状から脱水を起こした場合は、スポーツ飲料やイオン飲料は回復のために必要です。大切なのは、酸性飲料だからダメということではなく、その飲み方です。

全身症状回復のため以外の平常時には
1. 飲んだ後、水でうがいをさせる
2. ダラダラ飲みはしない
3. 就寝前の飲用を控える
4. 普段からしっかり歯磨きをする
以上のことを配慮した上で、上手に飲用しましょう。
普段の食事の時は、早めに歯磨きをして歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことが大切です。

食後の歯磨きのタイミングと、就寝時の歯磨きについて。

食後に歯磨きを欠かさないのは今も昔も常識です。一方でそのタイミングはどうでしょうか。「食べたらすぐ磨かないとだめだ」と教えられた人がほとんどではないでしょうか。

ある大学の先生は「食べた後にすぐに慌てて磨く必要はありません。一休みした後、食後30分以内に磨くのが良いでしょう」と話す。その鍵になるのは唾液です。唾液には細菌の繁殖を抑える力があります。食事の際、口を動かすと唾液腺から唾液がどんどん出てきます。食事が終わっても、しばらく唾液が出続けます。しかも、この唾液は歯の表面を元に戻そうとする「再石灰化」を促す役割を持っています。そのため、慌てて歯磨きする必要がないのですね。

でも、注意がいります。唾液が出にくい病気にかかっている人や、年齢を重ねて唾液腺の機能が弱っている人は食事の直後に磨いた方が良いです。また、子供の場合「食べたら磨く」習慣をつけるために食後に歯磨きを促すことは必要です。特に夜の歯磨きは丁寧に取り組むと歯の健康維持に繋がります。とはいえ、洗面所で冬場に磨くのは寒さに耐えられず適当になりがちです。もしそうであるならば、手鏡を持参してリビングに座ってテレビを見ながらでも良いと思います。そうすれば習慣化しやすいですからね。

歯ブラシ選びのポイントについて。

皆さんは、どんな歯ブラシを使っていますか?ドラッグストアやスーパーのオーラルケアコーナーにはたくさんの歯ブラシが並んで目移りしますよね。

でも、むし歯予防や歯周病予防等の目的に応じた歯ブラシ選びが重要です。選ぶ際のポイントは「毛先の形状」「毛先の硬さ」「ヘッドの大きさ」です。

まずは毛先の形状ですが、目的に応じて選択しましょう。むし歯予防であれば、主な目的は歯の表面に付着した歯垢(プラーク)を落とすことなので、適した毛先はラウンドカット毛です。歯周病予防に適した毛先は極細毛で、歯と歯茎の間の汚れを落とすことが目的です。毛先の硬さはメーカーによって違いますが、「ふつう」から「やわらかめ」が良いでしょう。「かため」の歯ブラシでゴシゴシ磨くと爽快感が得られるかもしれませんが、歯や歯茎を痛める原因になるので注意が必要です。

ヘッドの大きさは個々の口の大きさや好みによりますが、奥歯までしっかり磨けるよう大きすぎないものを選択しましょう。

歯ブラシを購入される場合は、以上のポイントを考慮して選びましょう。もし歯ブラシ選びに迷ったら歯科医院に足を運び、歯科医師、歯科衛生士に相談しましょうね。

歯の突起が折れると痛いですよ。。。

「中心結節」という一般の人には馴染みの少ないものがあります。全ての人に存在するわけではないのですが。。。

「中心結節」とは、小臼歯(犬歯の後ろ2本の歯)に多く見られる歯の形態異常の一つで、生えたての永久歯の真ん中に尖った突起のことです。この突起は大人になって噛み合わせの関係上、すり減ってくることが多いのですが、まれに何かの拍子で折れてしまうことがあります。実はこの突起の中にも神経が入っているため、突然折れてしまうと神経が出てしまう場合があります。

少しずつすり減るのであれば神経もだんだん退縮するため痛みを感じずに済みますが、折れてしまうと最初はしみる程度でも、だんだん症状が強くなって痛みが生じたり、場合によっては歯の根の成長が止まることがあります。

また、感染すると根の先に膿の袋を持ってしまうこともあるのですね。この場合、一見なんともないように見える歯が痛んだり腫れるので判断が難しいですが、レントゲン写真を撮ると根の先に黒い影が写ったりします

一度、膿んでしまうと治療に時間もかかりますが、定期的に歯科医院に受診していれば、突然折れないように少しずつ調整していくこともできます。この中心結節は左右対称に存在することが多いので、一度でもそのようなことがあった方や、そのような心当たりのある方は、かかりつけの歯医者さんで見ていただくことをお勧めします。

全身の健康管理と歯周病予防には、歯磨きと唾液が必要です。

口の中の健康と長寿は密接に繋がっているようです。ある大学教授は「健康を保つために、唾液が重要な役割を果たしている」といいます。

口の中の健康の大敵は「歯周病」です。歯周病は45歳以上の成人の歯を失う原因の第1位です。

歯周組織の総面積は手のひらと同じ大きさと言われていますから、歯周病があるとかなり広い範囲の炎症を起こしていることになります。この炎症のある歯周組織には細菌がたくさん住み着いて、それらが体に悪影響を及ぼします。

例えば、高齢者の死因に多い誤嚥性肺炎。食べ物が誤って器官から肺に入ってしまい、口の中の細菌により引き起こされる肺炎です。それ以外にも、動脈硬化を進めたり血糖値のコントロールを困難にします。

そうならないためには、どうしたらいいでしょうか?

まずは、当然ですが「歯磨き」です。1日3回食後に磨くことが理想ですが、難しければ3回のうち1回、寝る前だけでも入念に磨くことが大切です。この時、くまなく磨くのならば最低5分はかかります。そして、歯間ブラシやデンタルフロスを併用しましょう。歯ブラシでのブラッシングのイメージは1歯ずつ磨いていく感覚です。そして歯茎のマッサージ効果も得られるように、歯と歯茎の境目は優しく入念に行いましょう。

さらに3ヶ月に1回の定期健診で歯石を取ってもらえば、ある程度歯周病は予防できます。そして、もう一つ大切なことは「唾液がしっかり出る」ようにすることです。

このように、全身の健康を守るために唾液の存在は本当に重要です。もし、唾液の量が最近減ってきたなと感じられる方は要注意ですね。ドライマウス(口腔乾燥症)かもしれません。

ドライマウスの原因としては、目や口の中が乾くシェーグレン症候群だったりすることもあります。その他の原因は、心因的なストレスや糖尿病、腎不全などもあります。また、飲まれている薬の副作用の可能性や、噛むための筋力の低下なども考えられます。もし口の中の乾きが気になる方は、かかりつけの歯科医院でご相談を。

中高年のむし歯と唾液の関係について。

厚労省の「平成28年歯科疾患実態調査」によると、歯を失う人の割合は30歳以降5歳ごとに10%アップするが、50歳以降からはその割合が20%と大きくなるショッキングな報告がされています。
一方、むし歯治療をした人の中で、両側2本の歯を支柱にして欠損した歯の代わりにクラウンを被せるブリッジ処置をした人の割合は45~49歳で4.8%。
50~54歳ではそれが跳ね上がり、55~59歳で12%、60~64歳で13.9%、65~69歳で15.9%と増えていきます。

これらの数字から、歯を失う転機が「50歳」であることが解ります。それはなぜか?

これは、歯茎が痩せてエナメル質より軟らかい歯根部が露出することと、過去に詰め物などの治療した歯の内部にむし歯が広がることがいわれています。

また、唾液の量と質の変化も関係しています。唾液は、50代から目立って変わっていき、口腔内がむし歯菌の活動しやすい環境に成りえるのですね。唾液といっても、その性質は3種類あります。

サラサラ系ネバネバ系、その両方を合わせた混合系です。健康な人は、この3種類がバランス良く分泌されているのです。

その割合は、安静時と食事時では変化するのが知られています。若く健康な方なら、安静時では耳下腺組織からのサラサラ系が20%、混合系の唾液が顎下線から75%、ネバネバ系の唾液が5%分泌されています。でも、食べ物を咀嚼したりすると耳下腺からのサラサラ系が増えて50%を占めます。

ところが、歳を取ると安静時・食事時に関わらず、サラサラ系の耳下腺組織は活動が低下するため、口腔内全体に粘り気のある唾液が増えてくるのです。サラサラ系の唾液が減り、粘り気のある唾液が増えると、口腔内のむし歯菌が糖分を分解して、産出する酸を中和する力が弱くなります。

その結果、むし歯菌が繁殖してしまうのですね。このような生理的な変化に対応するためにも、中高年の方は歯科医院で定期健診をしっかり受け、むし歯のチェックをお勧めします。

強い歯を作るために、バランスの良い食事をしましょう!

強い歯を作るには、普段の食生活で充分に栄養バランスの取れた食事を取ることが大切です。人間の歯や骨は体の中で最も硬い組織で、少量のタンパク質と多くのカルシウムやリンなどのミネラル成分でできています。これらの成分は強くて丈夫な歯を作るために欠かせない栄養素です。ミネラル成分を多く含んだ食べ物は小魚類やレバー、海藻類、牛乳、卵、大豆、野菜、果物などがあります。意識して摂るようにしましょう。

また、最近は軟らかい食べ物を好む傾向がありますが、よく噛んで食べることも健康で丈夫な歯を作る上で欠かせないポイントです。よく噛むと、唾液がたくさん出てきて消化吸収を良くする働きをするほか、唾液にはカルシウムやリンが飽和状態で含まれているので、歯のエナメル質から溶け出したカルシウムやリンを補う力があります(これを再石灰化といいます)。

成長期は、硬い食べ物をよく噛むと美しい歯並びを形作るのに役立ちます。さらに、唾液には糖尿病、動脈硬化、がん予防に繋がる成分が含まれています。強い歯で噛むには、むし歯予防、歯周病予防を最初に行うことが大切です。お口のことで気になることがありましたら、歯科医院で定期健診を受けることをお勧めします。

噛む力や飲み込む力を保つための体操を知っていますか?

最近、食べこぼしやむせることが多くなった気はしませんか?

加齢とともにお口の機能が衰える「オーラルフレイル」の兆候を早めに発見し、対処することが大切です。「フレイル」とは「虚弱」を意味する英語が語源で、高齢になって筋力や心身の活力が衰えた状態を指します。「オーラルフレイル」は口の機能の衰えが、食欲の低下や栄養の悪化に繋がるという概念で、近年注目されています。

口の健康を維持するためには、歯の本数だけでなく、噛む力や飲み込む力、舌の力を保つことが重要です。硬いものが噛めないと軟らかいものばかりに偏り、噛む力が低下する悪循環に陥ります。例えば、さきイカや沢庵などの硬いものが噛めない場合、噛む力や筋力が弱まっている可能性があります。お茶や汁物でむせることがあれば、飲み込む力も低下している可能性があります。

これらの症状を予防するには以下に示す体操が有効です。それは、「パタカラ体操」

「パパパ、タタタ、カカカ、ラララ」「パタカラ、パタカラ、パタカラ、パタカラ」と大きな声で繰り返すものです。パは唇、タは舌の先を使うといったように、口の周囲の筋力向上が期待できます。

どこでも、いつでもできる簡便な方法としてやっていただくと効果があります。最近、噛む力や飲み込む力が弱ってきたなぁと思われる方は、是非やってみましょう。

高齢者は歯がたくさん残っていたとしても、安心しないで下さい。

高齢者の歯の噛み合わせが良くなかったり、噛む力や飲み込む力が弱ってきたりすると、要介護状態になるリスクが高まります。ある歯科大学の教授は「歯がたくさん残っていても、安心は禁物です」と警笛を鳴らしています。

日本老年歯科医学会によると、1.口腔内の細菌数 2.口腔内の乾燥度 3.咬合力 4.舌や唇の運動機能 5.舌による圧力 6.食べ物をかみ砕く力 7.飲み込む力 のうち3項目に問題があれば「口腔機能低下症」に当たるとされています。70歳を超えると、舌や唇の運動機能が低下し、自分の歯が残っていてもしっかり噛めない、飲み込みにくい状態になりやすいです。

咀嚼・嚥下機能の低下は脳卒中などの発症と関係している事も分かっています。咬合力が弱まると、噛みごたえのある肉や繊維質の多い野菜などが食べづらくなり、動物性タンパク質やビタミン類などの不足による栄養の偏りは虚弱や脳卒中、心筋梗塞のリスクを上昇させます。

咬合力には歯だけでなく筋力も関係します。この咬合力が弱い人は、歩行速度や全身の筋力低下が見られます。

また、口腔内の清潔さを保つために適度な量の唾液の成分が必要です。唾液の量が不充分だと口腔内の自浄作用が損なわれ、細菌数が増えて誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。

口腔内の衛生は歯科で指導を受けて実践できれば改善しますし、入れ歯の調整などで噛み合わせも改善できます。自分の歯を大切にすることはもちろんですが、噛む力や飲み込む力が維持できているかを常に意識することが大切です。気になる方は、かかりつけの歯科医院で相談しましょう。

デンタルユニットから出る水について…

皆さんは、歯医者さんの水はきれいなのが当たり前と思っていませんか?

残念ながら、多くの歯科医院の水は清潔とは言えないのが現状だそうです。歯科医院の治療水は、水道からデンタルユニット内を経由して患者さんの口の中へ入るようになります。問題なのはそのデンタルユニット内部の状況です。水道法は細菌の数は「1CCに100個以下」と厳格に定められていますが、ある歯科医院では7万個弱の細菌が存在していたそうです。

この問題は週刊誌やテレビで取り沙汰されるようになり、日本歯科医師会も認めている事実なのです。汚染された水を口に入れることはもちろん、口の中の傷口にもこの水を使用する点に大きな問題があります。これだと例えば抜歯をした際に、患部が異常な痛みで腫れたり、熱が出ることはある意味当たり前かもしれません。

また、歯の治療はどうしても水が飛散します。場合によっては、この水が目に入ったりして飛沫感染を起こす可能性もあるのですね…

そもそも、歯科治療は外科処置をする事が多いものです。歯を抜いたり、神経を取ったり、歯周ポケットを掻爬したりと出血を伴う処置は本当に多いです。そうなるとデンタルユニットから出る水は1個でも存在してほしくないですよね。

そんな現状を改善しようと2012年に設立されたのがPOIC研究会です。主に細菌感染や飛沫感染を防ぎ、POICウオーターによる細菌の塊が出すバイオフィルム除去に関する研究を行っています。そのPOIC研究会が推奨するエピオス社のエコシステムを当院でもこの6月から導入しました。そのエコシステムから生成される水は細菌数は0です。しかも、残留塩素濃度を常に10~20ppmに保つため、高い消毒力を有しています。当院は、この消毒水を使って日々の全ての診療に当たっています。

これからは、水のことも考えて感染予防に徹する歯科医院が増えてくると思います。でも、もっと多くの歯科医院がこの事実に気づいてくれることを望んでいますし、それが国民のためになると信じています。

「あいうべ体操」をやってみましょう

私たちが特に気にせずやっている呼吸には「口呼吸」と「鼻呼吸」があります。口呼吸をすると、口内が乾燥し乾いた冷たい空気が細菌やウイルスがほこりなどの異物と一緒に直接肺に入ることで、病気にかかりやすくなります。また、唾液が乾くことはむし歯や歯周病、口臭などの原因となりえます。長時間口を開けていることで、口周りの筋肉の力が低下し歯並びも悪くなりやすいです。

鼻呼吸を行うと、吸った空気に含まれる異物を線毛や粘液でろ過します。さらに扁桃リンパ組織が異物を防ぎ、鼻腔で温められ加湿された空気が入ることで風邪を引きにくくなります。

口呼吸の予防と鼻呼吸の促進のために、福岡市のある先生が開発した「あいうべ体操」というものがあります。「あー」口を大きく開く、「いー」口を横に広げる、「うー」口を前に突き出す、「べー」舌を出して下に伸ばす。この4つの動作を順に繰り返します。これを1セットとし、1日30セット毎日続けましょう。

これにより舌や口周りの筋肉が鍛えられ、舌が口蓋に付くようになって口が開きにくくなるので鼻呼吸が促されます。さらに、いびきの改善も見込まれますし、高齢者は飲み込みが良くなり誤嚥が減ります。

顎関節症で、口が大きく開けにくい場合は「いー」「うー」のみを繰り返してみましょう。この「あいうべ体操」慣れるまでは無理をせずに、2,3度に分けてやってみて下さいね。

歯周病が及ぼす全身への影響について

歯茎から出血があったり、歯がグラつく、口臭があるなどが歯周病の症状です。しかし、どのくらい歯周病が進行しているか把握している人は少ないです。初期症状は気づきにくく、わかっていても軽く考えてしまい、自覚症状が出て歯科を受診した時はかなり進行しているケースを多く見かけます。また、全身の健康に与える影響が大きいことがわかってきました。

歯周病などの口腔内疾患が全身に及ぼす影響は、誤嚥性肺炎、糖尿病、心内膜炎、動脈疾患、早産・低体重児出産などです。
一般的に歯周病を含む生活習慣病は慢性疾患であり、健康寿命を縮める最大の原因といわれています。悪い食生活、飲み過ぎ、運動不足、喫煙、口腔清掃不良などの問題のある生活習慣が長く続くと、がん、虚血性肺疾患、脳卒中、肺炎などの寿命を縮める重病にかかりやすくなります。

歯周病を初めとする歯科疾患は、適切な予防により進行を抑え、病状の改善が可能です。最も良い予防方法は、まずかかりつけの歯科医院を受診してみることです。そこで、精密な検査と専門家による予防処置を受け、セルフケアの方法を学び、日常生活のアドバイスを受けることにより、あなたのお口の健康度は飛躍的に高まります。

日本の平均寿命は延びましたが、次の課題は健康寿命を延ばし平均寿命に近づけることだといわれています。歯とお口の健康を保つことで高齢者や介護を受けている方の食生活や日常の活動が充実し、自立が維持され、併せて健康寿命も延びていくと予想します。

噛む力の低下は、衰えのサインです

最近、歯科を中心とした医療現場で「オーラルフレイル」という考え方が注目されています。フレイルは「虚弱」を表す英語に由来し、健康と要介護状態の中間地点を意味します。これは加齢などの影響で口の機能が衰えると噛みにくいと感じるので、肉や野菜などの硬いものを避け、パンやうどんなどの柔らかい食べ物を選びがちになり栄養が偏る。。。

ここで対策を取らないと、噛む力がどんどん落ちて食べられるものが益々減り、食欲や体力が低下し低栄養や筋力の低下、ひいては要介護状態になる。口の衰えが要介護状態の始まり。いわば「人は口から老いる」考え方です。

これを示す研究結果もあり、オーラルフレイルの概念を提唱した東京大学教授らが、約2千人の高齢者を約4年間追跡するとオーラルフレイルの人は死亡や要介護状態になるリスクが約2倍高かったそうです。

4年の短い期間でもこれだけの差が出る食の問題は本当に重要だと思います。歯を失うことで噛めない食品が増えたり滑舌が悪くなるなど、一つ一つはそれほど問題視されないことの積み重ねが後で本人の健康に重要なダメージに繋がるのですね。健康な歯をしっかり残し、よく噛める状態にしておくためにも歯科医院でしっかり予防に励みましょうね。

金属アレルギーって知っていますか?

食品や花粉、ハウスダスト、薬などがアレルギー反応を起こすことはよく知られています。これらは多くの場合、体内に入ったアレルゲンが血液中のアルブミンと結合し、異種タンパクとなって反応を起こすものです。

金属そのものがアレルギーを起こすことはないですが、溶液中の金属から電子が抜け出して金属イオンが生じ、多数結合して本来身体が持っていない異種の表皮タンパクができることがあります。これが表皮の免疫細胞やTリンパ球に異物と認識されると、強い拒絶反応として口内炎、舌炎、口腔扁平苔癬などになります。

一過性に生じたものはステロイド等で治りますが、絶えずアレルギーを生じるような状況下では治りません。そこに対症療法の限界があり、原因を見つけて根治する必要が出てきます。金属の詰め物や被せ物を入れて、すぐに起こる口内炎や舌炎は金属アレルギーの可能性があります。

金属にもアレルギーを起こしやすいものと、そうでないものがあります。ニッケルや、コバルトクロム、水銀、パラジウムなど保険診療に多用される金属は皮肉にも起こしやすいですが、チタンや鉄、金、銀、アルミニウム等は起こしにくいです。

金属アレルギーが疑われる場合は、口腔外科や皮膚科などでパッチテストといわれる検査用の絆創膏で調べてもらいましょう。もし、金属アレルギーと診断されたら、アレルゲンとなる金属を取り除かないといけません。気になる方は、安心して歯科治療を受けるためにかかりつけの歯科医院に相談しましょう。

食後の歯磨きと、生活習慣病の関係性について

ちょっと古い文献ですが、2010年に英国医師会誌に掲載された論文で「歯磨きの頻度と心臓病」というものがあります。これによると、歯磨き頻度が1日2回の人と比べて、1日1回未満の人では心臓病の発作リスクが1.7倍多いことが示されていました(ただし、この研究は海外の人を対象にしたもので、日本人にそのまま当てはまるものではありません)。

そんな中、3年前になりますが、日本心臓病学会誌電子版に日本人における歯磨きの頻度と、糖尿病や高血圧などの生活習慣病との関連を検討した論文が掲載されました。30~85歳の1万3,070人を対象にした論文で5年間の追跡調査で歯磨きの頻度と糖尿病、脂質異常(高脂血症)、高血圧、高尿酸血症の発症が検討されました。

その結果、毎食後に歯磨きを実践しない人は、毎食後に歯磨きを実践する人に比べて、男性での糖尿病が1.43倍、女性で脂質異常が1.18倍、統計学的にも有意に高い結果でした。なお、これによると高血圧や高尿酸血症との関連性は認められませんでした。

これは「歯磨きの実践が生活習慣病リスクを減少させるかもしれない」という結果ですが、そもそも歯磨きを毎日行う人は健康意識が高く、歯磨き以外に食事や運動も気をつけている可能性があります。つまり、この結果のみでは因果関係を決定づけることはできません。

でも、食後の歯磨きがむし歯や歯周病の予防のみならず、全身に及ぶ生活習慣病予防にも一役を買ってくれているのは確かなようです。そうであるなら、次はその人に合った正しいブラッシング方法を歯科医院で習得してみましょう。

高齢者のむし歯について

むし歯は子供に多い病気と思っている方は多いと思います。近年は80歳で20本の歯を残そうという「8020運動」の成果もあり、80歳で20本の歯が残っている方は50%を越えました。一昔前は入れ歯が当たり前だった高齢者に歯があることは、結果的にむし歯のリスクも高まっているのです。

生理的変化や誤ったブラッシングなどの影響で、歯肉に覆われていた歯根が年齢とともに露出します。歯の頭の部分である歯冠は硬いエナメル質という抵抗力のある層で覆われていますが、歯根はエナメル質がなく、それよりも軟らかい象牙質がむき出しになるためむし歯になりやすいのです。長年の咀嚼でエナメル質がすり減り、むし歯になることもあります。

また、むし歯を防ぐ力のある唾液が少なくなることも要因です。これは、老化や飲んでいる薬の影響、糖尿病などで唾液が減ることがあり、歯が唾液で守られなくなります。そうすると詰め物、被せ物やブリッジになった歯のつなぎ目などからむし歯になります。

認知症などでも自分で歯磨きができなくなる場合があり、これが引き金でむし歯が多発することもあります。その結果、大人になってできにくくなっていたむし歯が高齢者で再び増えてくるのです。放置すれば細菌の温床となり誤嚥性肺炎の原因になります。

また、せっかく歯が残っているのにむし歯になり、食事が取りにくくなることもありえます。さらにひどくなれば、抜歯など外科的な処置も体調によっては難しくなります。高齢で歯が一本でも残っている方であれば、日頃の歯科医院での管理予防が大切になります。

口内炎について

口内炎とは、頬の内側、舌、上顎などの口の中の粘膜に起こる炎症の総称です。主に4つのタイプに分類されます。

1. 物理的刺激による口内炎
入れ歯や矯正装置などが口の中に当たって、粘膜が傷つき、細菌に感染して起きるタイプのものです。食事中に誤って頬の内側を噛んで起きるのもこのタイプです。

2. カンジダによる口内炎
真菌のカンジダによる口内炎です。カンジダは常に体の中にいる常在菌で通常は炎症を起こしません。しかし、免疫の働きが低下していたり、口の中が乾燥していると炎症を起こします。

3. アレルギーによる口内炎
歯の詰め物や被せ物、入れ歯の金属によるアレルギー反応で炎症が起こるタイプです。

4. 原因がわかっていない口内炎(アフタ性口内炎)
最も多いのがこのタイプです。上記3つに当てはまらず、ストレスや栄養の偏りなどが原因ではないかとされています。

治療では、原因となるものを除去します。入れ歯や矯正装置が原因の場合は調整を行って、強く当たらないようにします。

カンジダによる口内炎は抗真菌剤が使われます。対症療法を行う場合、カンジダによる口内炎ではステロイドが含まれる薬は反って症状が悪化する場合があるため使えません。

アレルギーによる口内炎は金属アレルギーによることが多いので、アレルギーが起きにくい素材のものに交換します。

原因がわからない口内炎の場合は、患部を保護したり痛みや炎症を和らげる薬を処方する対症療法が行われます。この対症療法には、貼付剤、軟膏、噴霧剤、トローチなどがあります。

《原因がわかれば予防は可能です》
よく口内炎が起きる場合は、原因となっているものを除去して予防します。また、入れ歯はカンジダが繁殖しやすい場所です。繁殖しないように常に清潔にしておきましょう。一見、汚れていないように見える入れ歯でも、実は菌が繁殖している場合があります。

口内炎は通常2週間程度で自然に治ります。なかなか治らないものに関しては、口腔がんを疑ってみることも必要です。口腔がんは、舌や歯茎、顎などにできるがんの総称です。決して多くはありませんが、初期の口腔がんは口内炎と見た目が似ているため、見逃さないようにしましょう。口腔がんの場合は、自然に治ることはない赤い部分と白い部分が混在していて、硬く、デコボコしているなどが特徴です。ずっと治らない口内炎がある場合は、これらの特徴と照らし合わせてみてください。

口内炎が長引く場合や、口腔がんを疑う症状がある場合は、歯科、口腔外科を受診しましょう。

骨粗鬆症の治療などに使われる、ビスホスホネート製剤の副作用注意

骨粗鬆症の治療などに使われるビスホスホネート製剤の副作用に注意が必要です。骨粗鬆症やがんの骨転移の治療に使う「ビスホスホネート製剤」という薬の副作用で顎の骨が壊死してしまう患者さんがいます。
発症は稀ですが、効果の高い薬のため服用する人は多いです。顎骨壊死に抜本的な治療法はなく、むし歯や歯周病の治療などの予防処置が重要になります。

ビスホスホネート関連顎骨壊死(BRONJ)は下顎や上顎の骨が細菌に感染して腐っていく病気です。乳がんの骨転移や骨粗鬆症の薬として、ビスホスホネート製剤を飲む高齢女性などで、まれに発症することがあります。壊死が起きると口の中で骨が露出し、痛みが強いため食事できなくなることが多いです。顎の皮膚に穴が開いたことで腐骨が露出することもあるのです。放置により悪化し、脳や肺を覆う胸膜が細菌に感染する「脳膿瘍」や「膿胸」で死亡した例もあります。

骨は通常、古い骨を分解・吸収する「破骨細胞」と新しい骨を作る「骨芽細胞」のバランスで代謝が保たれています。ビスホスホネート製剤は破骨細胞だけに働きかけ、骨を丈夫にする薬です。第1世代から第2、第3世代と薬の改良が進み、乳がんや肺がん、前立腺がんなどの骨転移、骨が脆くなる骨粗鬆症の治療や予防に重宝されています。ただ、薬の効果が高まり服用する患者さんが増えた半面、副作用として顎骨壊死の発症も多くなってきました。2011~2013年の全国調査では、2年間に4,797例も認められたそうです。

対策として日本骨代謝学会などの6つの学会は昨年、顎骨壊死の予防策や対応策についてまとめた「ポジションペーパー」を4年ぶりに改訂しました。顎骨壊死は発症の仕組みなど未解明の部分が多いですが、現時点では統一的な見解を公表しました。ペーパーでは対策としてビスホスホネート製剤を服用する前に、歯科を受診することを挙げています。口の中の衛生状態を改善し、抜歯などの歯科治療を投薬開始前の2週間までに終えることが望ましいとしています。既に服用している人でも歯科の受診は重要で、歯磨きなどで口の中を清潔に保ちつつ顎骨壊死などの原因になりうるむし歯があれば治療が必要です。顎骨壊死が既に起きている人の場合、発見が早くなるほど治療の可能性は高まります。できるだけ早く大学病院などで処置をされることをお勧めします。このビスホスホネート製剤関連顎骨壊死は、治療法が根本的に確立されておらず、重症になれば顎骨を切除しても完全に治らず、命に関わることもあるため医師、歯科医師と連携して予防と治療に当たることが大切です。

歯ぎしりしているかもと思ったら、歯科医院へ

就寝時の歯ぎしりは子供から高齢者まで多くの人がしているといわれています。原因はストレスや精神疾患の治療薬の副作用、噛み合わせが悪いことなどが考えられています。しかし、はっきりしたことは解明されていません。

歯ぎしりは歯や顎に強い力がかかり、体にも悪影響を与える場合があります。歯がすり減ってむし歯のような痛みが生じたり、歯を支える骨が痩せて歯周病が悪化したり、歯そのものを割ってしまい治療が必要なケースもあります。

どのような場合に治療が必要かというと、舌で触れると歯がすり減っていると感じられる方や頬の筋肉がだるいと自覚する方、しょっちゅう詰め物や被せ物が外れる方、知覚過敏症で歯がしみる方は要注意です。また、歯ぎしりが肩こりや頭痛の原因になることがあり、こうした症状がある人も受診を考えた方がいいといえます。

睡眠の質が悪いと歯ぎしりが多いといわれ、日中に眠くなるのならば睡眠障害を合併している可能性があります。歯ぎしりは本当に全身に悪い影響を及ぼします。

治療法としては、マウスピース(ナイトガード)といわれる医療器具を使います。患者の歯並びに合わせて作り、寝る時に着けるとプラスチック製の器具が歯のすり減りを防ぎます。

器具には、上下の歯がバランスよく接するように矯正する機能もあるため、一定の期間が経つと器具を着けなくても歯ぎしりをしなくなる効果が見込めるかもしれません。また、歯ぎしりが原因で頬の筋肉がだるい場合は、指で優しく揉むマッサージが有効です。温かいと筋肉がほぐれやすいのでお風呂の中でマッサージするのもお勧めです。

歯ぎしりというとギリギリ音が出ることを想像しますが、音がしないタイプの「喰いしばり」もあります。歯ぎしりは単に周りの人がうるさいだけでなく、本人の体に大きな負担が掛かっています。治療は保険診療が適用されるので、まずは歯科医院でご相談ください。

歯がしみるのは知覚過敏かもしれません。

特にむし歯があるわけでなく、歯がしみることはありませんか?それは、もしかしたら知覚過敏かもしれませんね。知覚過敏の主な原因は、ブラッシング時の強い圧力や酸性食品の摂りすぎ、歯ぎしりや噛み合わせの悪さで歯の表面を覆っているエナメル質が削られて内層の象牙質が露出し、象牙質組織内部の象牙細管を介して歯の神経に刺激が加わるためにピリッとした鋭い痛みが短時間に起こるものです。このピリッとした感じが持続しないのが特徴でもあります。また、不良補綴物が入っていたり、歯周病による歯茎の後退のために歯根部が露出することで知覚過敏を起こしやすい状況になります。

歯ぎしりというとギリギリ音が出ることを想像しますが、音がしないタイプの「喰いしばり」もあります。歯ぎしりは単に周りの人がうるさいというだけでなく、本人の体にも大きな負担が掛かっています。この知覚過敏の対策と治療法は
1. 歯磨きを工夫
軽度の場合は、知覚過敏用の歯磨き剤と正しいブラッシングで症状が改善することがあります。

2. 歯がしみる部分にレーザーを照射して刺激が神経に伝わらないようにし、同時に歯の表面が硬くなり症状が治まることがあります。

3. セメントなどで埋める
歯の根元がくさび状にえぐれた場合は、その部分をセメントやコンポジットレジン(プラスチック)で埋めて治療します。

4. 知覚過敏用薬剤の塗布
知覚過敏用のお薬をしみる部位に塗って症状の改善を図ります。

なかなか症状の改善が難しいため、上記のやり方を組み合わせて治療に当たることもあります。この知覚過敏の症状がひどくなると神経の処置をやることもあるのです。気になる方は歯科医院でご相談ください。

噛む力が低下すると老け顔になります

噛む力の低下は顔のしわやたるみになって表れる事を、皆さんはご存知でしょうか?表情を作る顔の筋肉が衰えて両頬が下がる、いわゆる老け顔になると噛む力も衰えているはずです。また、首のしわは飲み込む力が低下しているサインです。噛んで飲み込む行為には首筋や胸、背中にある12種類の筋肉が使われ、その中でもこめかみ部分にある側頭筋や頬部にある咬筋が噛む行為の中心です。側頭筋と咬筋は「頭の位置」を決める筋肉でもあるため、歯が抜けて噛めなくなると立ったとき体が揺れてしまい、正しい姿勢で立ったり歩くことが困難になります。噛む行為を増やして顔の筋肉を鍛えれば顔のたるみやしわが改善して顔が若返ります。また、意識して口角を上げて笑う事も顔の筋肉(表情筋)を鍛えられますので、筋トレのつもりで口角を上げて笑ってみましょうね。一日中、不機嫌で無表情でいると、顔が老化してしまいますよ。

むし歯予防に効果のあるキシリトール・リカルデント・フッ素

むし歯予防に効果のあるキシリトール、リカルデント、フッ素はそれぞれ異なった作用があります。まず代用甘味料として知られるキシリトールは、甘くても糖分ではないため、口の中に入ってもむし歯菌は糖を食べて酸を出す働きができません。そして、キシリトールを食べていると、栄養摂取ができないむし歯菌を弱らせる効果があるため、口の中のネバネバが減って歯垢が付きにくくなります。市販のガム等にもよく使われていますが、噛むことで唾液がたくさん分泌されるので再石灰化促進の効果が期待できます。

次にリカルデントは、歯の再石灰化を促進させる働きがあります。酸に溶かされた歯の表面に、唾液中に含まれるカルシウムを取り戻しやすくする働きがあります。溶けてしまった歯の修復を補助します。

フッ素は、歯を強くして酸に溶かされにくくする効果があります。フッ素を塗布することで歯質が弱くむし歯になりやすいお子さんの歯を酸から守ってくれます。

何でもこれさえしておけば良いというものではないです。人それぞれむし歯の原因や必要な対策が違いますので、その人に合った方法を時期や状況に合わせて使い分けましょう。

洗口液って、本当に効くの?

薬局やスーパーでよく目にする洗口液。その効能には「歯肉からの出血」や「歯肉の腫れ」「口臭」とよく書いてあります。いかにも歯周病に有効なようなことが。。。
では、本当にそうなのかというと、なんとも言えない部分があります。「歯周病予防」と謳っているものであれば、ある程度期待してしまいますよね。

歯根面に付着した細菌の塊(プラーク)はバイオフィルムで覆われています。このバイオフィルムは歯の表面や、歯周ポケットの内部に形成され、細菌を守るバリアの働きをしています。このバリアを取り除くには、まず器械的にこすらなければ取れません。洗口剤はあくまで歯肉の上で効果を発揮するもので、歯周病を治すまでの効果はないといえます。ですから、歯磨きをしっかりしたうえで使用するのであればその薬効成分が行き渡るので効果があると思います。

いずれにしても、現状では洗口液だけに頼る口腔ケアは間違いだと思います。食後はしっかり歯ブラシ・デンタルフロス・歯間ブラシを使って歯磨きをし、併せて洗口液を使うのがよいですね。

でも歯周ポケット内の細菌の塊は歯ブラシでは届きませんから、歯科医院での定期健診とクリーニングも重要ですよ。

スポーツマウスガードのすすめ

近年、スポーツ愛好家の間でマウスガードが普及しつつあります。まだ、耳慣れない方がいるかもしれませんが、ボクシングや空手の選手が試合の際に口の中に入れているマウスピースの事をいいます。

スポーツマウスガードの効用は、口腔内の歯牙や歯肉などの歯周組織を外力から守るのが主目的です。ある報告では、中高生のスポーツ時の外傷で75%以上が首から上の頭部にあり、その中で口腔内の障害が多く見られます。スポーツ時の外傷予防に使用するマウスピースをスポーツマウスガードといい、歯ぎしり用のナイトガードや顎関節症治療用のマウスピースとは明確に区分されています。

以前は、格闘技の選手が装着するものという感じがありましたが、最近はアメリカンフットボール、アイスホッケー、ラグビー、バスケットボール、サッカー、野球、ゴルフ等の選手にも幅広く普及しています。このスポーツマウスガードは、スポーツ店で購入できますが、これは材料を温湯で軟化し、それを口腔内に入れて口を動かし、自らの口腔周囲の筋肉を動かして併せるものです。でも、これは簡便ですが素材の厚さが一定でなく適合が良くないです。

その点、歯科医院で製作したものは口腔内の型を取り、模型を起こしてEVAシートという弾力のある材料を軟化・成形して製作します。一層、もしくは複数のシートを使用して一定の厚みで製作できます。さらに、競技の特殊性を考慮して、危険な部位を保護するために意図的に厚くすることもできます。また、福利効果としてケガに対する安心感からか、思い切り競技に集中してできるため、パフォーマンス力が上がり、筋力の向上も期待されています。その効果を充分発揮するためにも、スポーツマウスガード購入の際はスポーツ歯学に精通した歯科医院で、適合の良いものを製作してみてはいかがでしょうか。

歯を失うことで体にも影響があります!

認知症リスクがアップ

歯の減少が脳の働きに影響し、残存歯が少ない人ほど脳の働きが悪くなりやすいです。噛み合わせや咀嚼能率の良い人と比べると、アルツハイマーや認知症の発症率は1.5倍とリスクが高くなります。

顔をゆがめるだけでなく、体もゆがめます

長年、片方の歯ばかりで噛んでいると、使っている方(噛み癖のある方)だけすり減るので、上下左右のバランスが崩れ、噛み合わせが悪くなります。また、咀嚼筋にも同様の事が起こり、使っていない方の筋肉が衰えます。それは顔の表情にも影響し片方だけにたるみや口角が上がらなくなる、シワやほうれい線ができやすくなるなど顔のゆがみに繋がります。さらには、体幹のバランスを崩し、首や肩の痛みやコリ、頭痛などの原因や腰痛、関節痛なども起こします。顎関節に影響し、顎関節症(口が開けにくい、顎の痛み)になることもあります。

高血圧の予防にも噛み合わせは大切

高血圧の主な原因は塩分過多、動脈硬化、ストレス、過労、肥満などです。50代以上はおおよそ半数以上の人が高血圧の疑いがあるデータがありますが、その原因が歯とも関係があるようです。歯は食べ物を噛むためだけで全身に影響を与えることはないだろうと思われがちですが、噛み合わせを矯正したところ血圧が安定した方がいます。高血圧予防には歯の健康を考えることも必要といえそうです。

歯茎の健康と全身の健康について

全身が健康であることも歯茎の健康に大切な事です。歯茎の抵抗力が落ちると歯周病になりやすいからです。歯茎は年齢とともにだんだん弱まりますし、もともと遺伝的に歯茎が弱い場合もあります。でも、生活習慣が一番大切です。寝不足や偏った食生活、運動不足やストレスなどに注意しましょう。体が健康な時、菌の病原性と我々の歯茎の抵抗力のバランスはとれています。体調を崩すと歯周病菌の病原性が高まります。

実は、歯周病菌がうつるのは18歳以降です。理由は解りませんが子供の口には歯周病菌はいないとされています。ただ何らかの理由で18歳以降に歯周病菌がうつっても、実際に歯周病が発症するのは中年以降です。

感染してから歯周病が発症するまでの間はいわゆる未病の状態です。年齢を重ねて歯磨きをすると歯茎から血が出ることがあります。そんな人は歯医者さんに行ってクリーニングしましょう。出血が止まり、ある程度健康な状態になります。

歯周病は全身の健康に影響を及ぼします。歯周病菌は口の中で出血しているところから血管の中に入り、血流に乗って全身に渡ります。今では、アルツハイマー病や心臓病、糖尿病、がん、骨粗鬆症、関節リウマチなどの病気に関係することが解ってきました。従って3ヶ月に1回は歯科で定期的なクリーニングがお勧めです。

歯周病はサイレントディズィーズ(静かなる病気)と呼ばれています。自覚症状が乏しいので気付かぬうちに進行します。そのため、未病の状態でのケアが一番大切です。歯科にかかるとともに、歯ブラシ、歯磨き粉、歯間ブラシ、デンタルフロスも使いましょう。歯磨きで大切なのは、小刻みに歯をこすって歯と歯の間に毛先を入れることです。コツは歯科医院でブラッシング指導の際に聞いていただくことをお勧めします。

歯を抜いたら、入れ歯かブリッジもしくは、インプラント

皆さんは、もしも歯を一本抜かなければならなくなった場合、残された歯を守るためには、どのような治療があるか考えたことはありますか?

抜歯後の治療法は3つあります。保険適用で患者さんの負担額が少ないのは、抜歯した両隣の歯を削って土台にし、橋を架けるようにつなげる「ブリッジ」と義歯である「部分入れ歯」です。

「インプラント」は自由診療でしかできず、数10万円と高額であることと、顎の骨に人工歯根を埋め込む外科的処置と、その上に人工の歯を取り付ける処置が特徴です。そのため、少数歯欠損の場合インプラントをファーストチョイスで行う医院も多いです。しかし、施術後のトラブルが重篤であることが少なくありません。

保険適用が認められるブリッジと部分入れ歯を比較すると、ブリッジは両隣の歯をかなり削らなければいけないのが欠点です。削ることで知覚過敏が起きやすく、場合によっては歯の神経を取る場合があります。一方で部分入れ歯の場合ほぼ削る処置はなく、両隣の歯を痛めることはないです。

しかしながら、ブリッジは接着剤で固定するため、着け心地は良く普通の歯と同じように噛めるのがメリットです。入れ歯のように外す必要がないため手入れは楽です。ただ通常の被せ物と同じように、中で菌が増殖していても目に見えず解りにくいのが難点です。

入れ歯は、装着時に多少の違和感があるのが難点です。毎日外して掃除をするのも手間がかかることだと思います。しかし見方を変えれば、清潔を保ちやすいという事でもあります。入れ歯とブリッジには、保険適用の材質と適用外の材質があるのですが、着け心地や傷みやすさ、審美性から考えると保険適用外のものの方が優れていることが多いです。

このようなケースなら、いずれにしても歯の欠損をそのままにせず歯医者さんの説明をよく聞いて、何らかの処置を選択されることをお勧めします。

歯周病と糖尿病との因果関係

我が国は食生活が豊かになり、糖尿病が毎年増加傾向にあります。糖尿病にかかると、体がだるいだけでなく、網膜症や腎臓病などの全身疾患に悩まされることになります。また、体の中の悪玉微生物と戦う機能が極端に低下するため、歯周病菌にも充分に抵抗できずお口の中での増殖を簡単に許してしまいます。そのため歯周病はどんどん悪くなり「糖尿病による歯周病」の状態に陥ってしまうのです。

そして、最近になって歯周病と糖尿病との因果関係が解明されてきました。歯周病が糖尿病そのものを引き起こすわけではありませんが、歯周病を治療せずそのまま放置しておくと、口の中に生じる炎症や感染の持続によって、脂肪組織や骨格筋の細胞の糖の代謝機能を妨げ、インスリンに対する抵抗性が高まってしまい、インスリンを作用しにくくしてしまうのです。(インスリンは血糖中の濃度を下げるホルモンで、きちんと作用しないと血液中の血糖値のコントロールが困難になり、血糖値が上がって糖尿病は悪化し、同時に病原菌感染を抑える創傷治癒能力まで低下します)

これらのことから、糖尿病のコントロールをきちんとするためには歯周病をしっかり治すことが重要で、また歯周病の予防や進行を防ぐためには糖尿病の治療が大切という事になります。歯周病と糖尿病は意外に密接な関係なのです。

顎の調子が悪いなと思ったら、顎関節症を疑いましょう

顎がカクカクする顎が口を開けると痛い何か違和感がある首や肩のコリ耳が痛い気がする等…。これらの特徴は、もしかして顎関節症かもしれませんね。頭痛や腰痛の原因がさまざまなように、顎関節症の原因もさまざまです。

例えば、
1. 顎の使い方が悪かったりむし歯や歯周病によって、左右の奥歯でしっかり噛めない
2. 歯並びや上下の歯の噛み合わせが悪い
3. 歯ぎしりや硬いものばかり食べることによる筋肉疲労
4. 生まれつき関節の形に問題がある
5. 事故や打撲
また、ストレスや体の不調和が関係していることもあります。

治療法は原因によって異なるので、精密検査が必要です。噛み合わせの調整や、スプリント(マウスピース)を使用する、薬物投与(鎮痛剤や筋弛緩剤)、理学療法(湿布や電気刺激など)などがあり心身医学的な治療が必要な場合もあります。顎関節症は慢性の疾患ですから、治療は即効的なものはなく治療期間が長引きやすいので焦らず根気よく直すことが重要です。

似たような症状で関節リウマチや耳下腺炎、三叉神経痛など紛らわしい病気があるので自己診断は禁物です。心当たりのある方は、歯医者さんで診てもらうことをお勧めします。

大人のむし歯の特徴

大人には大人のむし歯があります。その筆頭が治療済みの歯に起こるもの。通常のむし歯のように表面から虫食いになるとは限らないので、気づきにくい点が非常にやっかいです。

大人は治療済みの歯に注意!皆さんは歯科医院で、むし歯を治療してもらった経験はありませんか?

実は大人の場合、むし歯になるリスクが最も高いのが、その治療済みの歯なのです。むし歯は口の中にいるむし歯菌が作る酸が、歯の表面のエナメル質を溶かして起こります。子供のむし歯の多くは、健康なエナメル質の表面や隣接面に穴が開き色が変わってくるので、よくチェックしていれば比較的簡単に発見できます。

ところが、大人のむし歯は以前のむし歯治療で入れた詰め物や被せ物の脇から少しずつ進むため、口を開けた時に目につきにくい部位から始まり、歯の中へ中へと進みます。これを二次むし歯といいますが、もしそれが神経を抜いている歯であれば、どんなに進行しても痛みはなく、もしそのような歯に痛みが出たときは重度のむし歯になっていることでしょう。しかも、詰め物や被せ物には変化がないので発見されにくいのですね。

むし歯治療に用いられる健康保険が利くプラスチックの詰め物や金属の被せ物は一生ものではありません。どれくらいもつかはその人の口の中の状態や毎日のケアによって違いますが寿命があるのです。ですから、治療した歯を少しでも長くもたせるためにも、周辺は健康な歯以上に丁寧に掃除する必要があるのです。

子供の歯を守りましょう

乳児期は母乳からお母さんの免疫をもらっていますが、離乳期から12歳ぐらいまでは免疫機能が充分に備わっていません。そのため非常にたくさんの細菌の攻撃を受けていることをご存知でしょうか?そういう状況でも、小さい子はありとあらゆるものに興味を持って触ったり口に入れます。

特に離乳期は免疫力が一番低いときです。さまざまな病原体に感染するリスクがありますが、むし歯菌についても同じです。こういう時期に有効なのがフッ素による予防です。歯医者さんでフッ化物を塗ってもらって少しでも歯をむし歯菌から守る必要があります。

それから、乳歯から永久歯に生え変わる時期も気をつける必要があります。よく「乳歯はいずれ生え変わるからむし歯になっても大丈夫」と思っている人がいるようですがとんでもない話です。小さい頃から歯磨きをしたりおやつの時間を決めたり、バランスの取れた食生活をして歯を大事にする習慣がついていなければ、永久歯が生えてからいきなりするようになるわけがありませんからね。

もし乳歯の段階でむし歯が認められたら、早めに治療をするべきです。乳歯から永久歯に生え変わる時に、むし歯菌に感染しないためにはむし歯をきちんと治療して、少しでもむし歯菌を減らすことが重要です。

災害時こそ歯磨きが大切です

東日本大震災や熊本地震では、水が行き渡らない被災地が多く、歯や口の清掃がおろそかになりがちだったそうです。口の中が汚れたままでは、むし歯や口臭などの他、誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。

余震が続く地震災害では、不安や慣れない避難生活で緊張状態が続くため唾液が出にくくなります。また、水不足などで歯磨きが難しくなると、口の中の衛生状態が悪くなります。特に高齢者は、口の中が汚れた状態だと免疫力が低下します。そのままにしておくと、誤嚥性肺炎や感染症にかかりやすくなるので注意が必要です。

口の中を清潔に保つには、歯磨きとうがい、保湿が肝心です。研磨剤を含む歯磨き剤は口に残ると乾燥しやすくなります。すすぎうがいが充分できない状況では使わず、歯ブラシを水に濡らして磨きましょう。水をほんの少し口に含むと少ない水でも効果的にすすげます。

タオルや紙も使ってください!歯ブラシがない場合は、タオルやティッシュペーパーなどで歯の表面をふき、歯垢を取り除きます。口臭や粘つきが気になる場合は、うがい薬を薄めてぶくぶくうがいをします。入れ歯に関しては、1日1回は外して、濡れたティッシュペーパーで汚れをふき取りましょう。支援物資で届くパンや菓子、ジュースなどは糖分が多く、そのままにしているとむし歯の原因になります。頻繁に口にするのではなく時間を決めて食べる、食べたらうがいをするといった習慣づけも大切です。口の中を清潔にしたら、マスクをして保湿しましょう。

歯の健康寿命を伸ばしましょう!

日本人の平均寿命は男性が80.5歳、女性が86.83歳です。これは年々伸びてきております。しかしながら、歯の寿命は人の年齢にまだ追いついていないようです。最近の調査では、最も平均寿命が長い歯は、下顎の犬歯(糸切り歯)で歯が生えてから約63年です。逆に最も寿命が短い歯は、下顎の第二大臼歯(親知らずの一本前の歯)で約45年です。女性の歯の寿命は男性よりも短い傾向にあります。歯を失う原因の多くは、むし歯や歯周病であり、それらを予防することで歯の寿命を伸ばすことができます。

自宅でのホームケア
口腔清掃…歯ブラシ、デンタルフロス(糸ようじ)、歯間ブラシを組み合わせてより効率的なブラッシングをしましょう。
食生活…プラーク(歯垢)の形成に関わる食べ物(特に砂糖類)の摂取方法、回数、量、時間などに注意しましょう。

歯科医院でのプロフェショナルケア
定期検診…3~6ヶ月に1回は定期検診をお勧めします。
歯石除去、歯面研磨…自分で取れない部分のプラークや歯石を除去します。
早期のむし歯の治療…歯の寿命は確実に長くなります。

定期的に歯科医院で歯の健診、クリーニングに通っている人は歯が痛いときだけ通っている人に比べて2~10倍歯の寿命が長い結果が出ています。是非とも、かかりつけの歯科医院で定期的に健診を受けて歯の健康寿命を伸ばしましょう。

唾液は老化のバロメーター

口臭が気になる、口の中が渇く、歯周病が気になるなど、お口の中の状態が悪くて、思い切り笑えない、食べられない、喋れない経験はありませんか?

こうした悩みを解消し、口の中も体の中も元気にするために役立ててほしいのが、誰もが持っている「唾液」です。唾液には食べ物を分解して吸収しやすい形に変える「消化作用」や傷を早く治す「抗菌作用」、病原菌を寄せ付けない「清浄作用」などがよく知られています。

さらに唾液には、筋肉、内臓、骨などの育成を助ける「パロチン」、脳を活性化して若返らせる「NGF」、皮膚を修復して新陳代謝を促進する「EGF」といったホルモンが含まれ、《唾液がたくさん出る=若返る》といえるのです。

そこで、皆様にこの副作用ゼロの万能薬の「唾液」を増やすために生活習慣で気を付けていただきたいことをご提案します。

食事の際の新習慣
1. お茶や水で食べ物を流し込まない
現在はレストランで食事をするときも、水やお茶が出てきて、水分と一緒に食事をとることが当たり前になっていますね。しかし、かつての日本人はよく噛んで唾液をしっかり出し、唾液と一緒に食べ物を飲み込んでいました。よく噛まずに、水やお茶で流し込む習慣は意識してやめましょう。

2. 食材を工夫して噛む回数を増やす
唾液をしっかり出すためには、口の周りの筋肉が発達していることが大切です。その筋肉を発達させるためには、簡単に飲みこめる状態にならない噛みごたえのある食材です。よって、食材の工夫も大切です。

3. 正しい姿勢で奥歯だけでなく前歯も使って、しっかり食べる
食事中の姿勢が悪い人は前歯を使って食べることがなく、唾液が出にくくなります。食事中は両足をしっかり床につけて、正しい姿勢で食べましょう。

お口のケア新習慣
1. 歯磨きは寝る前と起きた直後に
食後は唾液の力で口の中を中性にし、再石灰化を促すことが大切です。食後に歯磨きをしたら泡と一緒に大事な唾液が口の中から出て行ってしまいます。歯磨きは食後ではなく、寝る前と起きた直後にしましょう。

2. 食後やおやつの後は「舌の運動」を
もし、食後直ぐにブラッシングをしないと気持ち悪く感じられる方は、デンタルフロスや歯間ブラシだけで歯と歯の間を磨きましょう。歯間に詰まった食べカスを取り唾液の通り道ができます。その後、舌で歯や歯茎を舐める「舌の運動」をします。これで唾液の出が促進されます。

これらのことを意識して、皆様も是非やってみてくださいね。万能薬の唾液量を増やすことは体にもお口の健康にも良いことずくめですね。

正しい舌のケアについて

舌の磨きすぎは気をつけましょうね

口の中を清潔に保つことが口臭対策の基本ですが、間違ったケアを続けると逆に口臭を悪化させることがあります。

当院に来られたある50代女性の患者さんは、舌がヒリヒリしても舌を歯ブラシで毎日磨き続けていました。その方は、舌の表面についている白いコケのようなものが口臭の原因と、ある歯科医療関係者から教わったそうです。「全部取らなきゃいけない」という強迫観念にかられて、一生懸命磨いていたようです。

この女性の舌は赤く腫れあがり、表面にヒビが入っていました。明らかに炎症を起こしている状態です。恐らくブラッシングの強い圧力と頻回にやりすぎたため舌を傷つけてしまい、そこに炎症を起こしたため硫化水素ガスが発生し口臭の原因になっていると思われました。

私は「確かに、ある程度舌をお掃除することは口臭予防に必要ですが、健康な舌とはピンク色の基板に全体がうっすら白色になっている状態で、磨きすぎたことで舌が痛んでしまったら本末転倒です。傷が膿んでしまい、そこからガスが発生して口臭の原因になりますよ」と患者さんに説明しました。

舌を磨く際はなでるように優しく、奥から手前、内から外にかき出すようにブラシを動かすことを勧めました。そして毛先の柔らかい舌用ブラシとうがい薬の併用を勧めました。この女性は今までの癖でブラッシングの圧力がなかなか取れず、理解してもらうのに大変でしたが1ヶ月後には良い状態になりましたよ。

むし歯の成り立ちについて

バイオフィルムって知っていますか?

唾液には様々な作用があり、その一つが清浄作用です。歯の表面は常に唾液で覆われており、唾液が歯の表面のエナメル質に触れている限りむし歯になりません。では「唾液もしっかり出ているのに、なぜ私はむし歯になったの?」という疑問がわく人も多いですよね。実は理由があるのです。

むし歯菌が口の中にいると砂糖という「エサ」を得て、唾液をさえぎる膜のようなものを歯の表面に作ってしまいます。これを「バイオフィルム」といいます。このバイオフィルムができてしまうと、歯のエナメル質が唾液に触れられず清浄作用が効かなくなります。そのため、バイオフィルムで覆われた内側は細菌が繁殖しやすい環境になるのですね。

むし歯菌は、このバイオフィルムの中で食べ物などから糖分を吸収して、自分が生きていくためのエネルギーを作り出します。糖は最終的に乳酸や酢酸、エタノールにまで分解されて外に放出します。ところがバイオフィルムが育ってしまうと、できた酸は外に放出されずにバイオフィルムの中に残ります。そして歯のエナメル質を溶かし始めるのです。これがむし歯になるわけですね。この状態がエナメル質を越えて象牙質にまで進行し、歯髄といわれる神経に近い位置にまで及ぶと猛烈な痛みが出てくるのです。

このバイオフィルムは器械的に破壊するのが効果的です。そのためには歯ブラシでの正しい歯磨きはもちろん、定期的なプロフェッショナルケアをしっかり行いましょうね。