2018/09/26
新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。
総入れ歯に近い状態のような欠損の場合の入れ歯は、簡単にはできません。
中には、型を取れば、次回には出来上がってくると思われている人が多いですが、そんなに簡単にはいきません。
通常は、診査をさせていただき、問題が無ければ1回目の型を取ります。
その型に石膏を流し、研究用模型を作り、それを元に個人トレーという、その人に合ったカスタムトレーを作ります(ここは技工室で行う処置です。)。
そして、それを使って精密な型を取ります。
そしてその型に、石膏を流して作業用模型を作ります。そして、咬み合わせ取りのための咬合床というものを作ります。(ここは技工室で行う処置です。)。
その咬合床を用いて患者さんの口腔内で適正な垂直的な咬合関係を決めていきます。
また、必要であればフェイスボウ・トランスファーという咬合器上で、患者さんの口腔内を再現するための、位置決めをしたりもします。
そして咬合器に、垂直的な咬合関係を再現していきます。
咬み合わせに狂いがないと判断できれば、このまま人工歯の排列をしますが、長い間、入れ歯を入れてなかったケースや、不適な入れ歯を長く使っていた人の場合は、水平的な位置関係が定まっていないこともあります。
そのような場合は、ゴシックアーチトレーサーというものを技工操作上で製作し、患者さんの口腔内で中心位という位置を探していきます。
そして、再度、咬合器に模型を付け直して、人工歯の排列を行います(ここは技工室で行う処置です。)。
そして、人工歯が並んだ咬合床を入れて仮合わせをします。
この仮合わせは試適という操作で、人工歯の並び具合いや、笑ったときの歯の見え方などをチェックします。
問題が無いことが確認できれば、技工操作で埋没・重合という操作に移り、床と呼ばれる部分をピンク色のプラスチックに置き換えていきます。
そして、入れ歯が完成してきたら、再度、咬合器に付け替えて、咬合の調整をします(この段階ではあくまで、咬合器に付けられた状態で調整するので、実際に患者さんが装着したときは、少なからず再度の調整が必要です。)。
そして、患者さんの口腔内に入れて、咬合と粘膜面の調整をしていくわけですね。
このように、入れ歯が出来上がるまでは気の遠くなるような時間と労力が必要です。
どのステップも、大切なのですね。。。
(即時入れ歯という、歯を抜いたと同時にセットするケースもありますが、ほとんどの段階が無視されてできるものなので、良い入れ歯には成り得ないのを解っていただきたいです。)
このような時間もかかる処置を、少しでも知っていただけたら幸いです。
入れ歯は簡単にはできないものなのですよ。
(写真はミラー像です。仮合わせ時に人工歯の並び具合を咬合面側から、チェックしています。)