2016/03/13
歯牙の欠損の状態で上下顎と咬み合う歯を無くした場合は、その状態が長く続くことによって何処で噛んでいいのかがわからなくなり、いざ、入れ歯を作ろうとしたときに患者さん自身でも良い位置が解らないため、咬み合わせを採得するのに非常に困難なケースがあります。
昨日、来られた患者さんもそのような状態にあり、咬み合わせを取る作業に難渋でした。また、この方は自由診療で金属床の入れ歯を入れたいとの希望もありました。僕は一回の義歯製作で満足いくようなものを作るのは困難と考え、先ずは咬み合わせを修正するための治療入れ歯の製作を提案させていただきました。そのため、保険診療内で入れ歯を製作させていただき、入れ歯の咬合関係を修正しやすい入れ歯を作り、安定したところで再度、金属床の新義歯を製作するというものです。時間はかかりますが、この方がさらに良いものができ、咬合の安定を図ることができます。なかなかこの提案を理解してくれる患者さんは少ないですが、この患者さんは、入れ歯を過去に何度作っても噛み合わせが上手くいかなくていろいろな歯科医院を渡り歩いていたようです。この提案をすんなりと理解していただけましたよ。仮にこの入れ歯で満足してしまい、金属床の入れ歯はやっぱりいいやということに、もしかしてなるかもしれません。リスクはいろんな意味でありますが、患者さんが喜んでくれるよう頑張りたいです。
(写真はこの患者さんが初診時に、来られた時の入れ歯を入れて撮影したものです。前に診ていた先生も一生懸命咬み合わせを直していこうとした跡が見受けられます。相当な努力をされていたのだと思います。僕も当初はこれを治療義歯にしようとしましたが、来る度に咬合力が強いため上顎の入れ歯が正中で割れてきます。やはり咬合治療のための入れ歯が必要と思い製作に踏み切ることにしました。)