僕が、総入れ歯治療に魅せられた理由(2)。

院長ブログ

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僕が、総入れ歯治療に魅せられた理由(2)。

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新潟駅から徒歩5分 「入れ歯専門外来」を持つりんご歯科医院から発信。 
 
 総入れ歯を作る醍醐味って、皆さんは解りますか?まず、普通の人は当然ですが、恐らく歯科医師の中でも、そんなに入れ歯診療が好きだという先生は少ないと思います。今や時代は完全に治療から予防にシフトし、歯を残すための治療やクリーニングが一般的ですよね。親知らず以外の歯を抜歯するというのは誰がどう考えても、良いとは思えないと思います。

 でも、現実はそんなに甘くなく、重度歯周炎や重度う蝕、そして歯根破折等で抜歯を余儀なくされることになる患者さんは少なくはないと思います。その時に、歯科医師としてできることは何でしょうか?1歯や2歯欠損であればファーストチョイスはインプラントやブリッジでしょうか。。。でも、それ以上の多数歯や全歯が欠損であったらほとんど入れ歯で対応するのが一般的ですよね。実際、歯を失い入れ歯で困っている患者さんというのは決して少なくはないのが実情です。でも、それに対し、積極的に入れ歯診療に携わっている歯科医師はかつてより少なくなってきています。この背景には、苦労が多い割に見合っていない保険点数や入れ歯を必要とする人の絶対数の減少、それに伴い学生教育での総入れ歯実習の時間の減少などが複雑に絡み合っているのでしょうね。
 歯を失った患者さんにはインプラント治療が主流化し、入れ歯製作が好きな歯科医師達には逆風が吹く状況の中でも入れ歯診療に情熱を傾けている自分は、ちょっと変わっているのかなとは思いますが。。。

 僕自身は入れ歯製作により全歯やそれに近いくらい歯を失くした患者さんの咬み合わせを自分が作って与えることに凄く喜びと楽しさを感じます。一定の規律はもちろん学問としてありますが、その範囲はかなり自由度が幅広く大きいものではあります。
 総入れ歯製作とは大雑把に言えば型取りをして模型を起こし、適正な咬合関係を得るための咬合床というものを使って咬合採得をします。その後、人工歯排列という技工操作に入るわけです。前歯部は審美性と発音を重視するための人工歯を選択して排列し、臼歯部は機能を重視して咀嚼能力を上げるための人工歯を排列するのです。また、歯肉部分は発音や入れ歯のくっつきや審美性、舌の位置の安定を得るために蝋を使って形成していきます。
 そして仮合わせをして、患者さんの意見を聞いて満足が得られれば、それを重合という操作に入り、蝋部分をプラスチックに代えていく作業に入ります。そうやって入れ歯を完成させるのです。そしてその後、細かい調整を技工操作と患者さんの口腔内で行うのです。
 これをすべて終えて、患者さんが満足して「何でも食べられる。」や「全然痛くない。」、「違和感がない。」、「顔に張りが出て、若返った。」というコメントをいただけたら、僕はもの凄くテンションが上がり、幸せな気分になります。

 これが僕の言う、総入れ歯治療の醍醐味です。神様が与えた生まれ持った天然歯の咬み合わせには程遠い、僕が作った咬み合わせではありますが、それを喜んでくれるのならばこれ程、嬉しいことはありません。まだまだ、未熟で全ての患者さんに満足を得られているわけではありませんが、さらなる努力をして少しでも多くの入れ歯を必要とする患者さんに満足していただけるよう精進していきたいと常々、思っています。
(写真の掲載は、患者さんの同意を得ています。)